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イベリス
第一話 卒業してその六

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「こうしてみましたが」
「いいです、じゃあです」
「これで、ですね」
「いきます、有り難うございます」 
 こうしてだった、髪型は決まり。
 コンタクトも買った、そしてメイクやファッションの雑誌を買って。
 今度は百貨店、新宿の八条百貨店に行き化粧品の店に行ってお店の人に話を聞くと実際にメイクをしてもらって言われた。
「もう手早くです」
「メイクはですか」
「お客様はそれがいいと思いまして」
 それでというのだ。
「睫毛はそのまま、アイシャドーはクリムゾンレッドをうっすらとで」
「ファンデーションは」
「それは色白なので白いもので」
 咲の肌に合わせてというのだ。
「そうしてルージュもです」
「赤ですか」
「スカーレッドにしました」
「アイシャドーも赤で」
「はい、そちらもです」
 ルージュもというのだ。
「そうしました」
「そうですか」
「これで、です」
 今の咲はというのだ。
「かなり違うと思いますが」
「何か」
 咲はお店の人が出してくれた鏡に映る自分今はもう眼鏡でなくコンタクトの自分を見てそうして言った。
「全くです」
「違いますね」
「はい」 
 本当にというのだ。
「別人みたいです」
「お客様はナチュラルで、です」
「そのメイクで、ですか」
「こうなります」
「ちょっとのメイクで」
 これまでの自分より倍は奇麗に見えた。
「ここまでなるなんて」
「それがお化粧です」
「そうなんですね」
「これからはご自身でもされますか?」
「はい、そのやり方は」
「それですが」
 お店の人は咲が出した雑誌のことから話した、そしてその後で。
 今度は服を買ったがそれもだった。
 お店の人に似合う服を選んでもらった、洒落たシャツやブラウスに。
 ズボンやミニスカートを選んでもらった、これまで部屋着はいつもジャージで外出着も地味であったが。
 これはという服を着てみてだ、咲はこちらの店でも鏡に映る自分を見てそうして驚きの声をあげた。
「何か本当に私かって」
「思われますか」
「ええ」
 実際にというのだ。
「これは」
「服も変えますと」
「それで、ですか」
「変わります」
「ここまで、ですね」
「人によりますが」
 それでもというのだ。
「そうなります」
「そうなんですね」
「ですから」
 だからだというのだ。
「服も選ぶといいですよ」
「そうですね」
 咲はこちらの店の人の言葉にも頷いた。
「これは。それじゃあこれからも」
「服もですか」
「選んでいきます」
 こう言ってだ、化粧品と一緒に服も買ってだった。
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