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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第二十二話 戦奴と愚者
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を尽くしてくれた臣下への礼を行った。そして、期待外れ(・・・・)の裏切り者に対する罰を与えん為に言葉を続ける。

「さて、行いにはそれ相応の対価を。というわけだ、クラウディウス。魔導を享受させたのは確かに僕だし、その時に教えた魔術をたかが数十年単位でこれほどのものに昇華させたことは(ひとえ)に賞賛に値するよ。だが、それで止めれると本気で信じていたのなら自身の実力を過信し過ぎだとしか言いようがないな」

アルフレートに対して魔道で戦いを仕掛けることが本来無謀だ。何故なら彼の魔術の研鑽の時間を比べるならそれこそメルクリウスでも連れてこなければ比較対象になることすらないのだから。それでも尚、クラウディウスがアルフレートを一時でも止めることができたのはアウグストゥスが居たからだ。
アルフレートは蓮に対抗するための(すべ)として己の力の殆どを一時とはいえ譲渡していた。そして、蓮が彼を斃した以上、下賜していた力の総てが返還されるのは当然のことである。そして、その力の大きさは現段階となってようやく大隊長の全力と同格に立ち位置していた。

「馬鹿な…自らの死の可能性を考慮してまでそのようなことをして、何をするつもりだったというのだ!」

「無論、ライニの栄光と我が友が享ける女神の寵愛のために」

それだけ言って彼は今まで使わなかった闇を動かしクラウディウスの首を絞める。そのまま扼殺せんとばかりに首を絞める力を強くする。それを阻止せんとヴァレリアが動くが、しかし、

「どこを見ている。お前に他人を気にする余裕があると思うのか?」

当然、マキナがそれを止める。その攻撃によって自らが削られるのを自覚しながらもなんの手立ても立てられずにいる自身に歯痒さを感じる。まさに絶体絶命。藤井蓮が来るまで耐え切ることが出来れば話も違ってくるだろうが、来る可能性はごく僅かである上に、今の状況では来たところでジリ貧であることは目に見えている。

「貴様は三つ、見誤っていることがある。まず一つ、お前はおそらく奴を待っているのだろう。だが、俺と奴との決着は尋常なものでなくてはならん。貴様が用意した場など以ての外だ。故に、たとえ奴がこの場に辿り着こうとも――――――」

「僕が彼を引き受けることになっているのさ。そういう約定を彼と結んでいる。尤も、彼を殺したら駄目なんだけどね」

アルフレートが笑みを浮かべながらヴァレリアに顔を向ける。

「そして、二つ目は……」

彼が大振りの一撃を放つ。ヴァレリアはその一撃を躱し切れずに両腕で防御するが無意味とばかりに魂を削られる。

「俺達を相手取る為に戦力を分散させたことだ。それは戦略としては下策としか言いようが無い」

そう、ヴァレリアであろうとも、蓮であろうとも、司狼やティトゥス、ましてク
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