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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第二十二話 戦奴と愚者
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「ハアアァァァッ――――――!!」

マキナの放つ拳をヴァレリアはその身をもって受け止める。

「グッ!?」

「無駄だ、知っているだろう。俺に砕けぬものは無い」

絶対的なまでの防御力を持つであろう神父の体から軋む音が聞こえる。彼は逃げることができない。何を見つけたのかこの場から校庭に降り立ったエレオノーレこそいないがそうたやすく逃がしていもらえるほど彼らは甘くない。団員の中ではマキナ、アルフレートともにヴァレリアよりも足が速い。例外であるシュライバーを除き最速であった創造時のベアトリスを仮に10とすればマキナは6、アルフレートはシュピーネと同じ5、それに対してヴァレリアは3程度である。この場には当然クラウディウスもいるがアルフレートを止める術式を発動していることも含めてこの場を動くことはできない。仮に動けたとしても動ける速さは下手をすればヴァレリアと同じかそれ以下だ。

「これ以上好き勝手出来るとお思いか!」

クラウディウスが自身の命すらも対価にさらに術式を編み始める。クラウディウスは元々はヴァレリアと同じで神父である。そんな彼が魔道を身に修めている理由は単純に蛇の道は蛇ゆえだ。アルフレートに教えを請い、自身の敵対者であった魔術を使う人間から技術を盗み、今日まで研鑽の日々を続けた。全ては彼らを斃すために。
ある意味矛盾した、しかし理に叶ったであろうその覚悟と方法。だが術式を編むというのは同時にそれが形あるものになるという事でもある。つまりは、

「自分だけは安全だとでも思っているのか」

彼、マキナの手で砕けるということでしかない。そして当然のように組まれた術式はその拳によって砕かれる。創造の『人世界・終焉変生(ミズガルズ・ヴォルスング・サガ)』どころか形成位階である『機神・鋼化英雄(デウス・エクス・マキナ)』によって砕かれる。そしてそのままクラウディウスに向かって拳は放たれる。咄嗟の防御も意味は無いかのごとく軽く吹き飛ばされた。

「ガァッ―――ッァ……!?」

そして、あっさりと打ち砕かれる術式と共に違和感を感じる。その違和感の正体、それはアルフレートを縛り付けているであろう彼の鎖に亀裂が走っていたことだった。

「なッ!?」

マキナによって砕かれた術式とアルフレートを拘束している術式は別物だ。マキナに放とうとしたものは意識を此方に向けるための牽制に過ぎない。対してアルフレートに掛けたのは己の命すら秤に賭けたものなのだ。それに亀裂が走っている。
自らが行える最高峰の魔術が引き裂かれる様子に驚愕する余裕すらなかった。そして、目の前の相手は呟く。

「ようやく戻ったか。いや、この言い方は臣に失礼だな。君は忠義を最後まで尽くしてくれた。僕の誇りに思おうアウグストゥス」

彼はまず最初に忠義
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