第四百五十七話 空美町の者達その十
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「考えてみれば」
「そういえばあの人達も浮いた話ないな」
「そうだろ、俺達に恋愛とかはな」
「あまり縁がないんだな」
「そういうものなんだろうな」
「それで俺も美空さん達をそうした目で見ることもないんですね」
智樹はここまで聞いて納得した。
「そういうことですか、お二人共美人でも」
「そういえばお二人共お奇麗よね」
日和が見てもだ。
「それもかなり」
「俺は自分で言うのも何だけれど可愛かったり美人だったらな」
それこそというのだ。
「誰だってだしな」
「そのとも君が、だから」
またそはらが言った。
「やっぱり何かあって」
「その何かはな」
「そういうことね」
「そうだな」
「まあそうした感情も大事だ」
ここでだ、氷室は冷静な声で言った。
「人間にはな」
「そうなんですね」
「そして服装に凝る気持ちもな」
「あの、いいですか？」
智樹は氷室の言葉を受けて彼に問うた。
「氷室さんこれまでスーツでしたけれど」
「今は自前の浴衣だ」
「そのピンクのラメ入りの浴衣自前ですか」
「そうだ」
氷室は極めて冷静に答えた。
「特注だ」
「そうですか」
「あの、服のセンスは」
ライダー達には謙遜しているニンフも言うことだった。
「氷室さんは」
「いいな」
「正直に言っていいですか？」
ニンフはこう前置きして言うことにした。
「思ったことを」
「ああ、言ってくれ」
「最悪としか」
「そうでしょ、この人服のセンスないのよ」
美空も苦い顔で話した。
「それも有り得ないまでね」
「やっぱりそうですか」
「普通に外見はいいのに」
それでもというのだ。
「ファッションセンスがね」
「この通りですか」
「最悪でね」
美空はこうまで言った。
「もう無視しておいてね」
「じゃあそうします」
「俺の服のセンスの何処が悪いんだ」
氷室は自覚がなかった。
「これでも凝っているんだぞ」
「凝っていてもそれはないですよ」
智樹もどうかという顔で述べた。
「俺もそれはちょっと」
「駄目か」
「もうちょっと考えた方がいいです」
「というか普通でいいでしょ」
美空はまた言った。
「普通の浴衣で」
「それが嫌いなんだ」
「嫌いでも今のそれよりずっとましよ」
ピンクのラメ入りの浴衣よりはというのだ。
「はっきり言ってね」
「くっ、言われ放題だな」
「私もそう思います」
内海もにこりともせず述べた。
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