episode14『助けてと、そう言ってくれるのを待っていた』
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だろうと、僕が人殺しなのは変わらない。僕が人を殺したばけもの――“鬼”になっちゃった事実は、覆らない」
「お、に……」
「あの炎の中で焼け死ねたら、きっと幸福だったんだろうね。でも、そうはならなかった――僕は生き残ってしまった。だから、生き残ったなら生き残ったで、きちんと罰を受けるべきなんだって、そう思った」
逢魔シンは生き残った、自らの命を絶つことも出来ず、生を拾って、ぐちゃぐちゃに歪んで尚ここで生きている。
逢魔シンという少年は、あまりにも酷い環境で幼少を過ごした。愛の代わりに与えられるのは終わりのない虐待、どうしようもない孤独。なぜそんな環境で過ごしてあれほど真っ当に育ったのかは分からないが、彼にとってはそれがむしろ悪い方向に働いてしまっている。
せめて倫理すら知らずに育っていれば。せめて常識を、良識を欠いたまま生きていれば、彼自身の心は壊れずに済んだのかもしれない。
そして、何よりも。
「それで、シンはOWを発現したの?」
「うん、そうだよ」
“自らの姿が鬼に見える”、という彼の歪む世界はまさに彼の抱える罪の象徴なのだろう。彼は人殺しを為した己を鬼と称して、それが最悪にも歪む世界として発現してしまった。
自らを人を殺す怪物と重ねて、そこにもう一つの現実を垣間見てしまったのだ。
鬼の姿となった彼にとって、自らの姿がそのまま罪の象徴だ。消えることのない罪科の烙印を世界そのものに刻まれてしまった。
――生きている限り、世界そのものが、彼を責め立て続けるのだ。
「僕は、罰されなきゃならなかった。でも、僕はここに来てしまった」
「……孤児院に?」
「うん」
逢魔シンは、シスター・智代に拾われてこの孤児院に転がり込んだ。
智代は本当にシンのことを考えていた。彼の抱える世界を何とかしようと、彼の抱える罪の意識を何とかしようと、出来ることを何だってしてきた。ヒナミがここにやってきたのだって、その一環なのだから。
智代は優しくて、共に暮らす家族たちは皆シンを慕っていた。それは彼の人間性で必然的に得た真っ当な、そして純粋な好意だ。彼が培ってきた信頼があったからこそ、みんなは逢魔シンという少年を信じている。
だからこそ、彼の望みとはすれ違ってしまっていたとも言えるのだが。
「誰も、罰さないんだ」
「シン」
「みんなが僕に優しくするんだ、みんな僕を支えてくれるんだ」
ボロボロと、10にも満たないような小さな姿をしたシンが、大粒の涙をこぼす。
悲惨な環境に生まれ、しかし優しく育って、それ故に彼自身が彼を許さない。シンの犯した罪を、シンそのものが激しく憎悪する。粉
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