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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第74話:それは小さな亀裂
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わるか、分からない」
調の言う通り、今廃病院で奏達に襲い掛かった怪物――ネフィリムの幼体は鉄ではなくビームを格子とした檻の中で眠っている。廃病院のアジトと違い、ここで暴れられてはエアキャリアはバランスを崩し一巻の終わりだろう。
「持ち出した餌こそ失えど、全ての策を失った訳ではありません」
そう呟くウェル博士の視線は、切歌や調の首元のギアペンダントに向いていた。照明の光を反射してキラリと輝くペンダントを見て、彼は不敵な笑みを浮かべていた。
その彼の視線を、ソーサラーが遮った。静かにスッと彼の前に移動した彼は、まるでウェル博士の考えを見通していると言わんばかりに無言で彼を見つめていた。
無言の圧力を受け、しかしウェル博士は小さく肩を竦めるだけであった。
全く堪えた様子を見せないウェル博士に、ソーサラーは小さく溜め息をつき踵を返すとマリア達を促して貨物室から出ていくのだった。
***
戦いが終わった桟橋に、仮設本部が接舷し搭乗ハッチから弦十郎が顔を出した。
「無事か、お前達ッ!」
仮設本部が接舷すると、装者達はその甲板に乗り移りギアを解除してその場に座り込んだ。流石に徹夜での戦闘は心身ともに堪えたらしい。
そんな中で、奏だけは勢いよく搭乗ハッチに近付き颯人の容態を弦十郎に訊ねた。
「旦那ッ! 颯人は? 颯人は大丈夫なのかッ!?」
「落ち着け奏。颯人君なら大丈夫だ。今は医務室で、大人しく眠っているよ」
そう言って弦十郎が搭乗ハッチから退くと、奏が飛び込むようにして艦内に入り一目散に医務室へと向かった。
「颯人ッ!」
奏が入ると、医務室では弦十郎の言う通り颯人がベッドの上で静かに寝息を立てていた。その近くには椅子に座って颯人の事を見守っていたらしき透の姿がある。
透は奏が必死の形相で医務室に入ってきたのを見ると、彼女を安心させようとしてかメモ帳にペンを走らせた。
〔大丈夫です。颯人さんは眠っているだけで、医者の先生も大事には至らないって言ってました〕
「そ、そうか…………そう、か……ふぅ――」
心から安心した様子を見せる奏に、透は優しい笑みを浮かべると医務室から立ち去った。自分がお邪魔虫である自覚はあったし、彼は彼でクリスを迎えに行きたかった。
医者も席を外しているようで、医務室に居るのは眠った颯人と彼の傍に座る奏のみ。奏は眠っている颯人の手を掴むと、その手に口付けをするようにして彼の温もりを感じやっと安堵の表情を見せた。
「颯人……良かった。ゴメン。お前に負担を掛けて…………本当に、何で、アタシは――――!?」
改めて、奏は装者として不完全な自分の体を呪った。翼達の様に薬に頼らずシンフォ
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