暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第74話:それは小さな亀裂
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光にソーサラーが僅かに顔を背けた。
 瞬間、颯人はソーサラーに向けて駆け出した。

「ハッ!」

 二刀流になった事で増えた手数で、ソーサラーに反撃する暇を与えないようにする颯人。透の戦いを間近で見てきた為、二刀流の立ち回りはバッチリだ。左右の剣で時にフェイントを交えつつ、ソーサラーに連続で攻撃を仕掛ける。

 だが透の時と違い、ソーサラーには苦戦した様子が見られない。何故なら颯人と透では戦い方に決定的な違いがある。

 透の戦い方は小回りの良さを活かした縦横無尽な戦い方だ。同じ場所に留まらず、相手の視界から頻繁に外れて死角からの攻撃を繰り返す。
 対する颯人の戦い方は、アクロバティックな動きを多用するものの速度自体は透に及ばない。目が良ければ十分追える程度の速度だ。

 颯人の振るう二刀流を、ソーサラーがハルバードの柄や穂先で巧みに防ぎ、反撃の薙ぎ払いを颯人は側転やバク転で回避していく。ならば魔法で対抗しようとするが、互いに相手に魔法を使わせまいと距離を離す事をしないので必然的に戦いは一進一退の様相を呈していた。

 2人が互角に立ち回っている横で、透はマリアに攻撃を仕掛けていた。狙うは彼女が持っている怪物の入ったケージ。それを奪う事を第一の目標に、マリアにカリヴァイオリンで斬りかかる。

「甘い!」

 しかしマリアは透の考えを読んでいた。ケージを持った方の手をマントの内側に隠し、空いた方の手に持ったアームドギアで対抗する。時折マリアの攻撃の合間を抜けてケージを持つ方の手に透の攻撃が伸びるが、彼の攻撃はマリアのマントによって全て防がれる。
 あのマントには透も手を焼かされていた。ああいう変幻自在な装備は、威力よりも素早さを重視する透の攻撃と相性が悪い。こちらはこちらで攻めあぐねざるを得なかった。

 戦況は五分と五分。どちらも相手に対し攻め手に欠けている状況だった。しかし二課側にはまだ装者が4人居る。彼女達が参戦すれば、この状況をひっくり返す事は容易かった。

 しかし――――――

『颯人君、透君! 響ちゃん達がッ!?』

 突然2人の耳に入る、あおいからの切羽詰まった通信。その声に2人が桟橋の方を見ると、そこでは奏達にライブ会場で乱入してきた切歌と調、そして数人の琥珀メイジが4人に襲い掛かっていた。

 その光景に颯人は仮面の奥で苦虫を噛み潰したような顔になった。廃病院の外でソーサラーと戦った時から気にはなっていたが、姿を見せなかったあの2人と他の魔法使い達をここで投入してくるとは。

 一瞬そちらに意識を取られつつ、ソーサラーとの戦いに集中し直す。奏達なら大丈夫だと言う信頼があってこそだ。

 だが直ぐにそれどころでは無くなった。先程僅かな間感じていた、全身を苛む苦痛が再び振り返して
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