暁 〜小説投稿サイト〜
歪んだ世界の中で
第十話 思わぬ、嬉しい転校生その十五
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「実はね」
「そうなの」
「運動ならね」
 それはだ。どうかというのだ。
「もうしてるし」
「泳いで。そしてよね」
「走ってるからね」
「運動部には入らないの」
「そのつもりだよ」
「じゃあ他の部活は?」
 今度は文科系だった。そちらはどうかというのだ。
「入るの?」
「文科系もいいよ」 
 それもだ。希望はいいとしたのだ。
「友井君は写真部だけれど」
「そこにも入らないの」
「部活よりもね」
 どうかとだ。千春を見てだ。そして言ったのである。
「千春ちゃんと一緒にいたいから」
「千春と一緒にいたいから」
「だから部活はいいよ」
 それはいいというのだ。
「だから一緒にいよう」
「そうだね。じゃあ今日もね」
「泳ぐ?どうする?」
「そうね。プールに行こう」
 千春は今日も泳ごうとだ。希望に言ったのだった。
「それじゃあね」
「そうだね。泳ごう」
「後。泳いだ後お家に帰ったら」
「走ろうと思ってるよ。ただね」
「ただ?」
「学校がはじまって。自由になる時間が減ったから」
 それでだというのだ。
「朝走ろうと思ってるんだ」
「朝になの」
「そう。毎朝ね」
 そうしようというのだ。これからはだ。
「走るよ」
「わかったわ。それじゃあね」
「放課後は千春ちゃんと一緒だよ」
 そしてだった。千春だけではなく。
「友井君ともね」
「あの人ともなのね」
「毎朝一緒に通学してね。学校でもね」
 一緒にいるというのだ。千春と希望は二人で話していた。
 そしてだった。共にだった。
 二人で話してだ。それからプールに行ってだ。この日も二人で泳いだのだ。二人のやることは秋でも同じだった。そしてそれは、だった。
 希望は一人になっても同じだった。家に帰り走ってそれから風呂に入りだ。夕食の後で勉強をしようとしたのだ。
 しかしそれでもだ。両親はだ。その彼に対してだ。
「全く。何やってんだ」
「やっても無駄よ、そんなの」
「御前みたいな馬鹿は勉強しても無駄なんだよ」
「そうよ。どうせ留年するんじゃない」
 こうだ。リビングで酒を飲みながらだ。二階の自分の部屋にあがろうとする息子に言ったのである。そこには何の愛情もない。ただ罵りだけがあった。
 そのうえでだ。二人はだ。今度はだった。
 互いに睨み合いだ。二人で言い合いをはじめたのだった。その言い合いの内容は。
「おい、俺はクイズ番組を観るんだよ」
「私が報道番組を観るのよ」
 こうだ。チャンネルの取り合いをはじめたのだ。
「俺は仕事帰りで疲れてるんだぞ。だから俺に譲れ」
「私だって家事ばかりして疲れ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ