第三章 リベン珠
第37話 完伝と想い出の日
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にスペルカード戦を広めた依姫と、その流れにうまく誘導した紫自身の努力の賜物と言えるだろう。
いざとなれば紫自身が今回の異変解決に乗り出す算段であった。だが、それは最終手段なのであった。それだけ今回の事は大事だったのである。
何故なら、基本的に妖怪は異変を起こす存在であり、異変を解決するのは人間であるのだ。今回はその内の一人が完全な妖怪であったというイレギュラーであるが、それは例外中の例外なのである。
故に、紫としては見事に今回の異変の解決をこなしてくれた勇美には感謝の念で一杯であり、人間である彼女がここまでやってくれるとは思ってもみなかった事でもあるのだ。
だから、紫は勇美には感心やら驚きやらの様々な感情が入り混じっている状態なのであった。
なので、彼女は柄にもなく、勇美にまず何から話していけばいいのか頭の整理がつかないのである。
そんな紫の心情を察したのか、勇美は彼女に気を利かせるようにこう言うのだった。
「あ、そうそう紫さん」
「何かしら?」
まさか相手の方から話し掛けてくれるとは、今の紫にとっては渡りに舟なのであった。だから彼女は今の状況をありがたく利用する事にした。
「紫さんから貰ったリボン、とても役に立ちましたよ。簡易型スキマなんて便利極まりなかったですねぇ〜♪」
「それは勿論、私のスキマの一部ですからね♪」
勇美が気を利かせてくれた事により、紫の方もいつもの調子を取り戻して飄々とした態度を見せるのだった。そんな中で、さりげなく勇美が取り計らってくれた事にも彼女は感謝するのであった。
その後勇美は藍や橙とも何気ない会話をして八雲一家との会話を弾ませていたのだった。
続いてやって来たのは豊姫と依姫の綿月姉妹であった。その二人を見て勇美の表情はぱあっと明るくなった。
何せ、彼女達とは依姫が本格的に月に帰る時を迎えてから、久しく地上では出会っていなかったのだから。故に勇美の喜びは一入であったのである。
「豊姫さん、依姫さん」
そう言って彼女は二人の下へと駆け寄っていく。そんな勇美を二人は暖かく迎え入れるのであった。
「お二人も私の誕生日を祝いに来てくれたのですね♪」
その事が勇美はこの上なく嬉しかったのである。自分にとって恩師である依姫に、自分と同志として歩んでくれる事を誓ってくれた豊姫なのだから。
「もちろんだって、勇美ちゃん♪」
「私達があなたの誕生日に駆けつけない筈がないでしょう?」
そう綿月姉妹はさらりと言ってのけるのだった。先の旅で、地上の穢れや生命エネルギーを月の民は苦とする事を勇美は良く知ったのである。
それだというのに彼女達はこうして地上にいる自分の下へと出向いてくれたのだ。その事への勇美の喜びは計り知れないものがあるのだった。
こうして無事に再会した彼女達は
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