第三章 リベン珠
第37話 完伝と想い出の日
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是非勇美さんの為に私をプレゼントにする計画は成功させて見せますから♪」
「いや、チャレンジ精神ってもっと普通の事に使いましょうよ?」
そもそも私の為にはなっていませんってと勇美は痛烈に感じるのであった。そして、それはかつての相棒を解放する為に世界に希望で満ち溢れさせる事を目標とした少年よりも果てしなく険しい道のりだとも思った。
ともあれ、早苗が自分の誕生日を祝ってくれている事に変わりはないのである。だから、勇美はこう言うのだった。
「まあ、早苗さん。ありがとうね。私の為に祝ってくれて♪」
「えっ!? は、はいこちらこそどういたしまして」
そう素直にお礼を言う勇美に意表を突かれた早苗は、心が浮き上がりそうになりながらも言葉を返すのだった。
そして、それは次の瞬間であった。早苗の鼻からチューブが切れた箇所から出るオイルの如く、ボタボタと鼻血が出たのは。
「あっ、いざみざん、ずびばぜん。では、ごれでじづれいじまず……」
勇美にみっともない所を見られたくない早苗は漏れ出る赤の恥液を垂らしながら、そそくさとその場から立ち去っていったのだった。
「早苗さん、お大事に〜……」
そう早苗の事を気遣い半分、ドン引き半分の心持ちで勇美は見送ったのである。
そして思った。──そういう変態な役回りは咲夜さんだけでいいと。
ともあれ、ここで誕生日会で唯一の懸念事項がクリアされて、勇美はこれで問題なく楽しめると胸を撫で下ろしたのであった。
そして、次なる来客は紫に藍に橙という八雲一家であった。幻想郷を誰よりも愛している妖怪の賢者と、その家族である。
それらの姿を確認した勇美は、迷わず彼女達の元へと掛けよって行った。
「こんにちは紫さん、今日は私の誕生日会に来て頂き、ありがとうございます」
そう快くお礼を言う勇美に対して、紫はいつもの胡散臭さのない優しい笑みで以て彼女を迎え入れながら言うのだった。そして、勇美は次に来るだろう言葉が予想出来たのである。
「勇美さん。お礼を言うのは私の方ですわ。幻想郷を救って頂いてありがとう」
「紫さん……」
正にそれが勇美の思っていた通りの紫の言葉であったのだ。
そこには一切の混じり気は存在しなかったのだ。いつも掴み所のない振る舞いをしている紫が、こうも誠実な態度を取るのはとても珍しい事であった。
紫がそうするのも無理のない話であろう。何せ、今回の異変はいつもと様相が大きく異なっていたのだから。
『普段の』異変は、謂わば幻想郷のルールに護られた、言うなれば約束された内容であるのだ。それに対して今回の件は月側が起こした外部からの介入であった。故に幻想郷内部のルールはうまく適応されなかったという事である。
勿論、異変を起こす者達はスペルカード戦に乗っ取って戦ってくれはしたが。それは月
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