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MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第37話 完伝と想い出の日
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物を開いてくれる。その事は今まで外の世界では経験し得なかったのでだから。
 その事に思いを馳せながら勇美は心待ちにしていると、まず第一勢力といえる者達が来訪したのであった。
 その者達の顔ぶれは、咲夜、美鈴、跳流、レミリア、そして霊夢や魔理沙といった面々であった。そう、先の月の騒動を阻止した者達である。彼女達はどうやら今回の騒動を乗り越え、一種の絆が芽生えたようなのであった。
 なので、勇美には悩みの種と言える『あの者』も例外なく来訪していたのだった。
「いーさーみーさぁーん♪」
「げっ!?」
 その声に敏感に反応してしまう勇美の感覚に狂いはなかったようである。彼女が感じ取った感覚は、紛れもなく自分を過剰な程溺愛している東風谷早苗そのものであったのだから。
 そして、早苗は見事に背後から勇美をハグしたのであった。
「さ、早苗さん。止めて下さいって……あっ、胸が背後から当たって」
 その感覚は勇美が大好きなものであったが、それはそれである。早苗にさせるがままにしていては身が持たないというものだろう。
 なので、勇美は今まで幻想郷での弾幕ごっこの日々と、今回の月への旅で磨き上げた身体能力で以って早苗の背後からの攻撃をすり抜けたのであった。
「あ、勇美さんってば……」
 折角愛しい者をその手中に収める事に成功していたのに逃れられて、早苗は今しがたこの世で一番大切なものを失ったかのような喪失感に襲われるのだった。
 だが、彼女はすぐに持ち直すのだった。このような精神的図太さがなければ勇美を追い続ける事など出来ないのである。
 ここで、改めて早苗はこの場に最も相応しい言葉を紡ぎ出す。
「お誕生日おめでとう、勇美さん」
「あ、ありがとう早苗さん……」
 思いの他普通の祝い方だ。そう勇美は失礼ながら思ってしまう。これなら自分の身は安心だろうかと感じる。
 そして、早苗は勇美に蛙と蛇をモチーフにしたぬいぐるみを渡したのである。
「あ、これってもしかして……」
「はい、神奈子様と洩矢様を意識して作ってみました。お気に召したでしょうか?」
「はい、とっても」
 そんなプレゼントと共に誠意を感じられる早苗の振る舞いに勇美は嬉しく思うのであった。そして彼女は思う。こういうので(対応)でいいんだよ、こういうので、と。
 だが、その勇美の切実な思いは脆くもあっさりと打ち砕かれる事となるのだった。
「本当は私自身をプレゼントにして勇美さんの所に送りたかったのですけどね、神奈子様と洩矢様に止められました」
「それ、『プレゼントは私』って奴ですか!?」
 勇美は今しがたまともな思考を早苗がしてくれたと思った事をこの上なく後悔するのであった。そして、的確な判断をしてくれた神奈子と諏訪子に心から感謝したのである。
「でも安心して下さい。今度は
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