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MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第36話 月の都よ、私は帰って来た!
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事なのだから。
 しかし、今回は身を引いてくれた相手方の配慮も忘れてはいけないだろう。相手方にも事情というものがあるのだ。それを無碍にして事態の解決というのは虫が良すぎるというものだろう。
 その事を踏まえて、サグメは頷くのだった。
『分かりました。取り敢えず結果は完璧とは言えないものの、事態の解決に赴いてくれたあなた方には感謝します』
 サグメにお礼を言われ、勇美達は「どういたしまして」と礼を返した。
 だが、勇美達はボランティアで今回の異変を解決に導いたのではないのだ。確かに幻想郷の平穏を護る為に戦った訳だが、それだけで終わらせては、収まりがつかないというものである。
 その事もサグメは重々理解しているのだった。そして、彼女は発言で事態を真逆にひっくり返す自身の手に余る能力は持っていようとも、嘘は可能な限りつかない主義なのである。
 だから、次にサグメが言うのはこのような内容であった。
『では。約束通りにあなた方に月の遺産のごく一部ですが差し上げましょう』
 この約束は、勇美達が最終決戦に赴く前に取り決めた事であった。もし、無事に事態解決出来たら、その時は勇美達に報酬を与えるという内容であったのだ。
 それは、どちらからともなく決められた事であった。サグメの方も異変解決に赴いてくれた勇美達をタダ働きさせる気はなかったし、勇美の方としても将来妹と平和な暮らしをする為に入手出来る利益は入手しておきたい所であったのだから。
 このように両者の意見は、予め一致していたのだった。それが今果たされる時なのであった。
 そして、サグメによって勇美達に遺産を渡すように指示されていた彼女の側近達によって、勇美達の元へとそれが運ばれて来たのである。
「うわあ〜♪」
 勇美がそう感嘆の声を上げるのは無理のない事であった。何しろそこには絵に描いたような金銀財宝の山が持ち込まれていたのだから。
「これで、ごく一部ってのが信じられませんね」
 その事も勇美を驚かせる要因となっていたのだった。この豪華絢爛なラインナップでありながら、これでも氷山の一角に過ぎないというのだから。
 しかし、それも月の文化の中枢が拵えた遺産である事を考えれば当然と言える事かも知れないだろう。何せ、月の文化は地上よりも遙かに進んでいるのだから。
 これが自分達の物となるのだ。故に勇美はその興奮を隠せずにはいられなかったのだった。
「グヒヒ、こんなにもうかっちゃった……」
「勇美さん、落ち着いて下さい。それだとどこぞの国民的メガネ少年ですよ」
「バーロー♪ 私はそんな頭脳は大人なんて大それた存在じゃありませんって♪」
「そっちじゃありませんって。絶対ワザと言ってるでしょう?」
 と、鈴仙はそのようなコント染みたやり取りを勇美としながらも、彼女がそうして心躍るのも無
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