第三章 リベン珠
第36話 月の都よ、私は帰って来た!
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さが勇美達の身に伝わってくるのだった。
「私としても安心しました。これで元に戻っていると実感出来ますね」
鈴仙の方もすっかり元通りになった月の都の様子に安堵を覚える。もう彼女にとっては帰る場所ではないものの、かつて生まれ育った場所に安泰が戻ったのは喜ばしい事なのである。
これにて元の平穏が戻り、勇美達は肩の荷が降りる思いであろう。これで自分達は為すべき事を為したと実感出来るというものだ。
これで月の都に平和が戻った事は実感出来た。だが、勇美達は後一つこの月の都でやっておかなければならない事があるのだった。
一頻り都が平和になったのを確認した勇美達は、その画竜点睛となる人物の元へ赴こう、そう思っている時の事であった。
「頼まれた物の買い出しはこれで完了ですね」
そう独りごちながら都に繰り出していた者を勇美達は発見したのだった。その者の名前を彼女達は知っていたのである。
「イシンさん」
そう、サグメの専属の学者となり、凍結した月の都でも深く関わる事となった玉兎。レイセン改めイシンであった。
彼女の姿を視界に収めながら、鈴仙も口を開く。
「日数は経っていない筈なのに、何だか『お久しぶり』という言葉がとってもしっくりきますね」
「ええ、全くです。私もそう思いますよ」
その鈴仙の意見にはイシンも同意する所があったのだ。今回の件は余りにも脳裏に鮮烈に焼き付くような出来事だったのだから。
そう二人は言い合うと、お互いに思わず笑いがこみ上げてくるのだった。そこには、形は違えど、異変に立ち向かった者同士の絆のようなものが感じられたからである。
二人が一頻り笑い合った所で、勇美達は本題に入るのだった。そこで勇美は話を切り出す。
「イシンさんが出向いていてくれて丁度良かったです。買い出しも終わった所でしょう?」
「ええ、それでは私があなた方をサグメ様の所に案内しますよ」
「うん、話が早くて助かるよ」
勇美はイシンのそういう所が柔軟性があって良かったと思うのであった。その特性が今の能力に目覚めてサグメ専属の学者にまで上り詰めた一因だと勇美は感じる所である。
こうして、月の都を救ったちょっとした英雄となった勇美達はイシンに案内されて官邸に赴くのであった。
◇ ◇ ◇
そして、今勇美達はサグメ達に近況報告をしている所である。ちなみに、無論であるが官邸の門はイシンとサグメの計らいで難なく通れたという訳だ。
『成る程……『暫くは』襲撃をしないと来ましたか』
そうサグメは重々と呟いた。勿論、生の声を出せば事態は逆転してしまうので、イシンの能力により思考を音声に変換してもらっての所為である。
そして、そう『呟いた』サグメの心境は複雑であった。もう金輪際襲撃をしないという約束には取り付けなかったのは悔やむべき
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