第三章 リベン珠
第36話 月の都よ、私は帰って来た!
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を取り出すと、それを勇美達に掲げたのである。
「一体何をするのですか?」
そう聞く勇美の疑問はもっともだろう。もし害になる行動だったら、とてもではないが御免被りたい所である。
「『穢れ』の浄化ですよ。あなた方は私達の事態解決をしてくれた人達だというのは分かります。ですが、我々にとっては穢れだけは持ち込まれてはいけないのですから」
そう門番Aが言うのも無理はないだろうと勇美は思ったのだ。何せ、今回の騒動が起こったのには、彼等がそれを弱点とする事に他ならなかったからである。
そう勇美が思っている内に、彼女の浄化はいともあっさりと終わったようであった。
こうもあっさりと済まされてしまうものなのかと、勇美は月の技術力の高さに改めて舌を巻くのであった。
後、こういうのはパンツを脱いでいた方が効力がもしかして高かったかも知れないと、どうでもいい後悔を彼女はしていた。
勇美の方はこれで完了である。残るのは……。
「次は兎のあなたですよ」
「私は元月の住人なのにやるのですか?」
その事に鈴仙は些か訝りを覚えるのだった。元同志だというのに、何だか他人行儀のような対応でやるせない心持ちを感じるのだ。
「ええ、あなたは最早『地上の兎』ですからね」
「それならいいか♪」
その言葉を聞いて鈴仙は吹っ切れたのであった。今の彼女は自分が地上の兎になった事に誇りを持っているからである。だが、門番のこの発言は、玉兎でありながら浄化処理をされる事となる鈴仙をうまく丸め込む為のサグメの案だという事を鈴仙は知る由はなかったのだった。
こうして、鈴仙も方も浄化処理を施されて、二人は月の都に入る準備が整ったという訳である。
そして、手筈を整えた門番達は、満を持して二人に言うのだった。
「手間暇掛けさせて申し訳ありませんでした、それではどうぞお入り下さい」
「どうぞご満喫していかれて下さい」
こうして門番達は勇美達を月の都の中へと招き入れ、二人はそこへと身を投じていった。
◇ ◇ ◇
「うわあ、素敵……」
月の都の中で、勇美はそう感嘆の声を漏らすしかない程のものを覚えていたのである。
確かに最終決戦の地へ向かう為の準備の間に勇美達は月の都に滞在していた。だが、その時と今の様相はまるっきり違っていたのだった。
あの時は都を凍結させた状態であった為に、色褪せた無機質な雰囲気が全体を支配していたのだ。そして勿論、サグメとイシン以外の月の住人は存在していなかった為に、がらんどうとしていて心まで凍えてしまいそうな程の冷たさがその身を包むような状態だったのである。
だが、今はどうだろうか? 都は色とりどりに彩られていて暖かさに包まれており、正に『命の息吹』を感じられるのだ。更には道ゆく道には人々の喧騒が存在して、大いに賑わい力強
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