第三章 リベン珠
第35話 事後処理
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「見事です二人とも。この勝負、私達の負けのようですね」
手に汗握る攻防戦の果てに、鈴仙に背後から銃を突きつけられ、純狐は確かにそう発言したのであった。
つまり、この瞬間に勝負は着いたという事なのである。
その純狐の敗北宣言にヘカーティアも別段不満を抱いているようには見えない。寧ろ、心の底から納得しているようだ。
なので、この場で純狐とヘカーティアの敗北について疑問に思う人はいないのであった。
だが、これを読んでいる人は、恐らくとてもではないが納得してはいない事だろう。そんな人達にも分かるような発言をすべく、純狐達は種明かしをしていくのだった。
「まさか……、ヘカーティアの本体が私の所にあるのを見抜かれていましたとはね……」
そう純狐はどこか達観したかのように呟きながら、自身に使っていた能力の一部を解除する。
するとどうだろうか? 純狐の胸の中から人魂のような物が飛び出して来たのであった。これは何だろうかという疑問は彼女達からの発言により解消される事となる。
「はい、という訳でこれが私の本体の魂だ」
「ハンサムですねぇ〜♪」
「いや、魂にハンサムもクソもあるか」
勇美のふざけたコメントにより水を指された感じになってしまったが、ともあれこの魂こそヘカーティアの命と意思の源なのである。
「しかし、この事がよく分かったな?」
「ええ、いくら女神様とはいえ、三つの体を一度に操るには、その中枢となる存在もなしにこなせるものではないと最初から踏んでいました。ヘカーティア様は三つの体にそれぞれの意思があるのではなくて、れっきとした一つの意識を持ってるのが分かりましたからね」
「成る程……そこまで読んでいたか」
勇美のその洞察力に、ヘカーティアはただただ舌を巻くしかなかったのである。
「勇美の読み通りだ。そして、私の魂を純狐の肉体に純化させて溶け込ませて悟られないようにするというのが私達の作戦だったという訳さ」
そこまでヘカーティアの説明を聞いて、勇美は一つの事を言っておきたかった。
「それを気付かれなくする為にヘカーティア様は敢えて戦いの前に自分の体が三つである事を明かして自分に目がいき、純狐さんに余り注意がいかないようにしたという事ですね。つまり、あの時から勝負は始まっていたと」
「まあ、そういう事になるな」
ヘカーティアはその勇美の推測を否定せずに頷いたのである。そして続けた。
「その事について訝っているか?」
「いえ、寧ろ感謝しています。勝負というのは単純な力くらべではない事を再確認出来ましたから。それが私が幻想郷や弾幕ごっこが好きな理由の一つなのですよ」
そう言えば紫さんも月の面々と知恵比べという形で勝負していたっけ、そう勇美は感慨深く思った。奇しくも今回月絡みの異変で今度は自分が知恵比べする事
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