第三章 リベン珠
第34話 絆と絆 3/3
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リボンであった。それには鈴仙も見覚えがあるのだった。
「勇美さん、それは八雲紫のスキマのリボンですね?」
そして彼女は思い出したのだった。今の旅の始めの頃、勇美がこのリボンを用いて簡易版のスキマを生成して中から収納したアイテムを取り出すというやけに便利な使い方をしていたのを。
だが、鈴仙の記憶ではそれで作れたスキマは実に小規模なものであったのだ。それではとても今の状況に対応出来るとは思えなかったのである。
しかし、鈴仙は勇美を信じる事にしたのだ。何せ今まで数々の常識を破ってきた勇美である。今回もまたしでかしてくれるだろうと思ったのだ。
そんな鈴仙の期待に答えるべく勇美は行動に移そうとしていた。その前に彼女はしみじみとした雰囲気で呟く。
「紫さん、一緒に戦いましょう」
そう勇美は、今は幻想郷にいるだろう自分の恩人の一人へと想いを馳せるのだった。
確かにこの場には八雲紫はいない。だが、勇美には紫の想いが託されたリボンがあるのだった。だからこれは、紫の想いと一緒に戦う事と同義なのであった。
幻想郷を最も愛する者の気持ちと一緒に、それを護る為に戦う。その事に意味があるのだ。
一頻りリボンを握り絞めながら想いを噛み締めた勇美は意を決して──そのリボンを今正に穢れを集めた機械惑星の下へと放り投げたのであった。
「何を!?」
勇美のその行為に鈴仙は驚愕したのだった。あれだけ勇美が大切にしている物をこうも容易く投げ付けるとはと。だが、勇美は落ち着きながら言った。
「まあ鈴仙さん。そう驚かないで見ていて下さい」
そう言った勇美のする事は一つであった。──新たなスペルの発動である。
「【解放「穢れの行き着く先」】!!」
するとどうだろうか? その宣言の後に起こったのは、機械惑星の中心に大穴が開くというものであった。そして、惑星の集めた大量の穢れはその穴の中に取り込まれていったのだった。
それは奇妙な光景であった。まるで何かの生き物が、自分の体に浴びた水を自身の力で吸い込んでいるかのような目につく様相だ。
そして、大穴の開いた機械惑星は、瞬く間に穢れをその中に全て送り込んでしまったのだった。
その急展開に、相手型は神二人と言えども驚愕して開いた口が塞がらない心持ちとなっていた。だが、ここで漸く純狐が平静を取り戻して言葉を紡ぐ。
「で、ですが今回のはヘカーティアと私の合わせ技が破られたに過ぎません。例え彼女のダメージが大きくて戦いに支障をきたしても、私が戦えばいいだけ……の事……」
純狐のその言葉は徐々に萎んでいったのだった。何故なら、鈴仙が相手方の隙を突いて、狂気の瞳の力を発動させながら純狐の背後を取っていたのだから。加えて、鈴仙は純狐の背中に自前のルナティックガンを突き付けていた。
「さあ、どうしますか?
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