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MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第34話 絆と絆 3/3
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避けていく。だが、今までの弾幕と比べてもこれは実に手強い事が感じられるのだった。
 まず、その量である。宙に浮かぶ惑星の中からばら蒔かれるそれは、確実にその密度が濃いのであった。明らかに先程の『地獄に降る雨』よりも、弾幕自体の規模が大きい事が感じられるのだ。
 加えて、弾丸一発一発の威力も馬鹿にならない事も忘れてはいけないだろう。漸く避けた事で地面に着弾していくそれらは、その度に赤黒い爆炎をあげていくのだ。これをもらってはダメージは相当なものだろうと考えるべきだろう。
 つまり、これらの事から導き出される結論は……。
「これは、長期戦は明らかに不利だねぇ……」
 そう呟く勇美に対して、鈴仙は何か感じる所があったのだ。故に彼女は勇美に聞く。
「勇美さん、その様子だと……何か秘策があるのですね?」
「うん、まあね」
 鈴仙の読み通り答えた勇美であったが、その様子はそこはかとなく歯切れが良くなかった。
「勇美さん?」
「あ、ごめんなさいね。この作戦は少し問題があるから……。だから鈴仙さん、一つ約束してくれますか?」
「何ですか?」
 一体何事かと首を傾げながらも、鈴仙は勇美にその先を促したのである。それに対して勇美は答えていく。
「あのですね……。私がこの作戦を行った後でも私を嫌いにならないで欲しいのです。いえ、私に対して懐疑的になってもいいですけど、これからも『仲間』だって思って欲しいのですよ……都合が良すぎるかも知れませんけど」
「勇美さん……」
 勇美の言わんとしている事を察する事は出来ない鈴仙。だが、彼女の切実な態度からは、確かな覚悟が感じられたのだ。
 元より、勇美はせこい事はすれど根本にあるのは誠実な心であるのを鈴仙は彼女との短くない付き合い、そしてこの旅を通じてよく分かっているのである。だから鈴仙の答えは決まっていた。
「構いませんよ勇美さん。あなたがどんな手段に出ようとも、私はあなたを信じます」
 そう言って鈴仙は勇美の両手を温かく包み込んだのであった。それにより勇美は鈴仙の温かさを肌で感じる。
「鈴仙さん、ありがとうございます。お陰で気持ちに踏み切りがつきました」
 勇美はそう鈴仙にお礼を言って、なけなしの笑顔を彼女に見せたのであった。それだけで鈴仙には勇美の純粋な気持ちがありありと伝わってくるのだった。
「さあ勇美さん、あなたの思うようにやって下さい」
「恩に切ります」
 このやり取りの後、勇美の心は完全に決まったようであった。そして、その想いを胸に勇美は目の前の禍の星へと視線を向けた。
 その様子をヘカーティアは眉根を寄せて見ていたものの、やがてそれも収まり得意気に勇美に言う。
「何やら意味ありげなやり取りをしていたようだが、この攻撃からそう易々と逃れられると思うな。私達の復讐心の結晶からな!
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