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MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第34話 絆と絆 3/3
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ある。鈴仙は勇美のお陰で成長出来たという自覚があるが、その勇美自身も成長していったという事だろう。
「分かりました。この勝負、勇美さんに託します。だけど、くれぐれも無理はしないで下さいね」
「分かっています。ここぞという時は鈴仙さんに頼らせてもらいますよ♪」
 自分を気遣う鈴仙に対して、勇美はそうおどけながら返して見せたのだ。そう、彼女には自分を投げ捨てて戦うような意思はないのである。ちゃんと自分を大切にしながら、その範囲で奮闘しようという心構えであった。──それが依姫の下で育った彼女が出す持論であった。
 だが、同時に彼女は負ける気も到底ないのだった。それも依姫から学んだ事であり、勇美自身が潜在的に心の奥底に宿していたものでもあるのだ。
 クラウンピースが倒された時点で神二人の計画は果たせなくなっている。もう、この勝敗は幻想郷を救う事には関係してはいない。しかし、それでも勇美は負ける事は嫌いで、その気持ちに鈴仙も応えるつもりだった。
 一方でヘカーティアである。彼女は勇美とは違い、エネルギーの奔流をその身で浴びたのだ。しかも、自分が攻撃の体勢をしている所に、更に自分自身の力を受けたのだから、その痛手は相当なものだろう。
「あたたっ……今のはちょっと痛かったね」
「全く……女神とはいえ無茶しますよ」
 だが、ヘカーティアはおどけて見せながら何の問題かといった風にあっさりと起き上がって見せたのだ。この辺りはさすがは女神といった所だろう。これには純狐は呆れと感心が入り混じった心境で見守った。
 だが、それでこそ純狐にとって頼れる存在でもあるのだった。確かに自分も強大な力を持っているという自覚はある。しかし、それでもヘカーティアは頼りになる存在であり、何より自分と一緒に行動してくれる者というのが彼女には有難かったのだ。
 純狐は愛する息子を殺され、そしてその元凶たる夫を仇討った後は、当然彼女は孤独となってしまっていたのである。
 そんな中ヘカーティアは現れたのだ。その事は孤独であった純狐には何よりも嬉しかったのだった。例え自分と彼女が結ばれている理由が復讐の同志という、道徳的には間違った内容でも純狐には嬉しかったのだ。そう、さながら純狐にとってはヘカーティアは新たな家族同然となったのだ。
 その事はヘカーティアも意識する所であった。確かに彼女は同じ復讐対象を持つ者として純狐と結ばれたが、その心の奥底には少しでも自分が純狐の拠り所となってあげたいという気持ちも確かに存在するのだった。
 そんな二人だから、一丸となって何かを成し遂げたいと思う気持ちが強くなっていったのだった。それが、今の勝負という訳である。
 最早彼女達は復讐を成功させる事は出来ないだろう。だが、勝負を最後まで投げ出さずにこなす事で一つの目標に向かって進みたいのである。だ
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