第三章 リベン珠
第33話 絆と絆 2/3
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の例えと共に、勇美はヘカーティアに存在する弱点に付いて指摘する。
「つまり、ヘカーティア様の肉体入れ換えは、HPは回復しても『気力』は減ってしまうという事ですよ」
「どういう事だ?」
勇美の言い始めた話の要点を掴めずにヘカーティアは首を傾げる。
そんな彼女に対して、勇美は丁寧に答えていく。
「つまり、別の体と入れ換えて休ませている間に、気が緩んで士気が落ちているって事ですよ」
それが、今の弾幕の威力が落ちている事にも繋がっているのだろうとも勇美は指摘した。
「成る程……確かに」
勇美に自分の特性たる三つの体を用いた戦法の意外な弱点を指摘され、ヘカーティアは素直にその事実と勇美の奮闘を受け止めたのである。
ともあれ、弱点を認識されたとなっても自分のやるべき事は変わらない。なのでヘカーティアは次なる手に出ようとする。それに、彼女の次の手ならば『特に問題はない』のだから。
そして、お決まりの如くヘカーティアはその身を地球から月へと変貌させた。再び髪の色が変わり黄色になるが、その変化も最早見慣れたものであろう。
この月の肉体は先程鈴仙の会心撃により一番ダメージを負った筈である。それがやはり完全ではないものの回復しているのだった。
だが、それに加えて士気の方も下がっている。勇美はこれは好都合だと思うのである。
しかし、勇美のその読みは些か浅いものであったとこの後に思い知らされる事となるのだった。
「やっぱり『気力』は落ちているようですね」
「まあね」
勇美の指摘通りに気だるいものを感じながらヘカーティアは『やれやれ』といった感じに自嘲気味に呟くが、すぐに気を持ち直して言う。
「だけど、そんな事は些細だって今か思い知らせてあげるよ」
言うとヘカーティアはおもむろに自身の構えを変え始めた。そして、その変えた構えには勇美は見覚えがあるのだった。
「あ……まさか……」
勇美は戦慄した。その構えから嫌な予感がしたのだ。その構えはというと、『両掌を上下に合わせる』というものであったからだ。
「鈴仙さん、気を付けて下さい。大きなのが来ますよ!」
咄嗟に鈴仙に呼び掛けて勇美はこれから起こるだろう被害を最小限にすべく奮闘し、自身もそれに備えて神に呼び掛ける。
「『石凝姥命』よ、どうか!」
それを聞いて鈴仙も合点がいき、勇美のそれに自身の『インビシブルフルムーン』を合わせるのだった。
対して、その二人が準備している間にヘカーティアの方も──十分にありったけのエネルギーを溜め込む事に成功していたのである。
後はその力を惜しみなく繰り出すだけなのだった。
「【月「ルナティックインパクト」】ぉっ!!」
その掛け声と共にヘカーティアの両手にみるみるうちに『月』のエネルギーが収束されていき──そして一気に放出
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