第三章 リベン珠
第33話 絆と絆 2/3
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とヘカーティアは右手を天に掲げた。それにより今回も彼女の腋が見えたのだが、さすがの勇美もそれに喜ぶ余裕はなかったのである。
「くそぅ……惜しい。もう一回ヘカーティア様の腋のシャッターチャンスだったってのに」
いや、付け加えよう。勇美はヘカーティアの腋に喜ぶ余裕はなかったが、喰らいつく意思は健在だったという事である。
そんな勇美を前にしたヘカーティアであったが、今回はスペルカード発動に集中していて別段取り乱す事はなかったようだ。それに加えて彼女は余裕を見せながら言ってくる。
「本番はこれからさ。いくぞ!」
その発言を皮切りに事は起こったのである。空から降り注ぐ物が大雨に加えて、エネルギー弾が追加されていったのだ。
正にこれは『弾幕の雨』とでも言うべきものだろう。更には本物の雨まで降っているのだから厄介極まりない。
ちなみに純狐は自身のスペルカードである『震え凍える星』により自分の頭上に氷の塊を現出させてそれを傘代わりにしている。何だか無駄に器用である。
「純狐さんに雨宿りだけでもさせてもらえないかな?」
「いえ、雨だけ避けても弾幕に当たっては意味がないでしょう?」
等と勇美と鈴仙は軽口を叩き合うが、何せ激しい雨に打たれながら弾幕まで避けるのは非常に重労働なのであった。
だが、勇美には別段困った様子は見られなかった。寧ろどこかケロっとすらしているように見受けられた。その答えは簡単であった。
「その様子だと、何か秘策があるのですね?」
「うん。厄介な弾幕なら、お引き取り願うまでですよ♪」
勘よく気付く鈴仙に対して、勇美は飄々とした様子で言う。とは言え今のずぶ濡れになる状況は難儀極まりないのだ。事は迅速に行わなければならないだろう。
まずはお決まりの神々への呼び掛けである。
「『風神』様に『天照大神』に『だいだらぼっち』様よ。この悪天候をどうにかすべく力を貸して下さい」
そして三柱の神が勇美の半身の機械に取り込まれる。後はいつもの通りに変型を行うまでである。
だが、今回は些か様子が違った。三柱の力を取り込んだ勇美の分身マックスは、そのまま地面に降り立ったのである。
その後には急展開が待っていたのだった。何と地面に足を付けたマックスは、そのまま自身を構成する機械を地面に張り巡らせ始めたのだ。さながら植物が根付くかのように。
そのような急変化を遂げていったマックスの行き着いた先、それは地面をくり貫いてそこに根付く巨大な送風機であった。
「まさか……」
事の一部始終を見守っていたヘカーティアは、その造りを見て鋭く脳内を電流が走る感覚に襲われたのである。
「ヘカーティア様、読みがいいですね。では」
そう言って勇美は、いつの間にか手に生成されていたリモコンをその送風機に向けながら宣言をする。
「【
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