第三章 リベン珠
第33話 絆と絆 2/3
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それらの弾速も弾の大きさも軌道も完全にまばらなのであった。
正に、これはさながら無思考の弾幕といえるだろう。統一性がない事が、この場合逆に脅威だろう。
「くっ……」
勇美はその乱雑な弾幕を辛うじて避けながら考える。どうも自分は神降ろしを借りながら戦う分、規則的な行動パターンが多くなっていると自覚するに至ったのだ。
つまり、この攻撃を規則正しい自分には攻略するのは難しいという事である。さて、どうしたものか?
だが、勇美は焦りはしなかったのだ。何故ならあくまで『自分には』対処がしづらいに過ぎないのだから。そこまで考えを巡らせると、即座に彼女は行動に移すのだった。
「ここはお願いします、鈴仙さん!」
自分で対処出来ないのなら、仲間に頼ればいいのだ。これは何も恥ずべき事ではない。何故なら仲間を信頼している証なのだから。
「任されました、勇美さん♪」
言われた鈴仙の方も嫌そうな素振り一つせずに、二つ返事で承諾したのである。この事からも、二人は今までの旅と戦いでより一層絆が深まったのが分かるだろう。
そして、勇美から信頼の下に攻略を任された鈴仙は、威風堂々とした態度で以って敵の不規則で掴み所のない弾幕へと意識を向けながら、スペルカードの発動をする。
「【散符「朧月花栞」】!」
その宣言と共に彼女は右手を鉄砲に見立てて敵の放つ弾の群れにその銃口を向けた。それに加えながら彼女は自前の狂気の瞳を赤く輝かせたのだ。
それにより、辺りは霧が発生したようにもやが掛かり、視界はぼやけてしまったのである。
その状態で鈴仙は指の銃口から弾丸を発射したのである。次々に射出されるそれは、正に小さなロケット弾のようであった。
更には、その速度も速い遅いまばらであった。それに加えて霧が発生している為、その弾の群れの動きの想像は実に難しいものとなっていた。
故に、ヘカーティアの方もこの鈴仙の攻撃には舌を巻いていたのだった。自分の不規則な出方に対して、鈴仙もそれに対抗するかのように出てきたのだから。
ヘカーティアがそう思っている間にも、鈴仙の放った小さなロケット弾の群れは次々に敵の弾幕に当たっていき相殺していったのである。
だが、ヘカーティアも負けてはいなかった。彼女が放った弾の群れが破壊されようとも、次から次に新たな弾の兵団を投入していったのだから。
しかし、今回は彼女が分が悪かったようだ。何せヘカーティアは弾を出すだけだったのに対して、鈴仙は霧状のエネルギーを出して視界を遮るという芸当までこなしていたのだから。
そうこうしている内に、事の次第は収まっていったのである──鈴仙が敵の弾幕を全て殲滅するという形で。
「……」
その結果を目の当たりにして、ヘカーティアは些か呆気に取られていたのだった
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