第三章 リベン珠
第33話 絆と絆 2/3
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カーティアはこの異界の体の第二のスペルカードを繰り出す。
「さあさあ、ちゃちゃっと行くよ! 【異界「地獄のノンイデアル弾幕」】っと♪」
そう言うとヘカーティアの体に赤黒いオーラのようなものが発生し始めた。その状態で彼女は両手を高らかに天に掲げたのであった。
その瞬間だった。これは幸と言うべきか、不幸と言うべきか。ヘカーティアの上半身の服装たるTシャツは完全な袖とはなっておらず、袖の部分の生地が無防備な構造なのである。
故に常に肩部は露出され、そして今回……両腕を掲げた事により、普通の感覚ならなるべく隠しておきたい腕の付け根たる『腋』までも大胆にお披露目される事となってしまったのだった。
「ウホッ! いい腋……」
当然というべきか。脳内が常に春な勇美はこの絶好の機会を逃す事なく、ホイホイとその魅惑の領域へと意識を集中したのだ。
「そして、シャッターチャンス!」
加えて勇美は、間髪入れずにカメラを懐から取り出してシャッターを押したのだった。
ちなみにそのカメラは無論、鈴仙とクラウンピースとで一緒に記念撮影をした時の物であった。ピエロ妖精や兎耳の者が写っている写真や、変なTシャツの女性が惜しげもなく腋を露出している写真……。これらを現像する事になる者は一体どう思うのであろうか?
「心配要りません。現像は文さんにやってもらいますから♪」
「勇美さん、変な写真ばかり現像させられるあの天狗の身にもなってあげて下さいね」
「なぬっ!?」
しょうもない物を写真にしようとしている勇美も勇美だが、ここでヘカーティアはさりげなく言う鈴仙にも聞き耳を立てたのだ。自分やヘカーティアの写った写真が『変』だという事を。
これには包容力のある女神たるヘカーティアも聞き捨てならないものを感じたのだった。
「私とクラウンピースが変……だとぉぉぉー!」
そう吼えながら、ヘカーティアの纏うオーラはより強く、より禍々しくなっていったのである。
これには鈴仙もたじたじとなるのだった。例えクラウンピースとヘカーティアのファッションセンスが変なのは正論でも、それを今の状況で堂々と言う度胸などはただの無謀だと彼女は見切りを付けた。
「訂正しろぉー兎風情がぁぁぁー!」
「いえ、訂正してお詫びしても弾幕は張るのでしょう?」
「その通りだ、覚悟しろぉ!」
果たして自分とこの女神の言い分は、どちらが理不尽なのか。その不毛な哲学に対して……鈴仙は考えるのをやめた。
何はともあれ、今は激昂した敵の弾幕がいかに強大になるかという事である。
そう思いながら二人は身構えるのだった。対してヘカーティアは満を持して溜めに溜めたエネルギーの放出を始めたのであった。
そうしてヘカーティアの全身から赤黒いエネルギーの弾が次々に放出されていった。しかも厄介な事に
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