第三章 リベン珠
第32話 絆と絆 1/3
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アが繰り出した禍々しい塊を撃ち抜いたのであった。
そして、その勢いは留まる事はなかった。禍を断ち切った清めの矢そのまま発動主たるヘカーティアへと向かっていったのだ。
「!?」
咄嗟にヘカーティアは防御態勢を取り、ダメージを最小限に収める。だが、何せ攻撃の後を狙われたのだ。ダメージは留める事は出来ても完全には無効化は出来なかったようだ。
「くっ……やるじゃないか」
ヘカーティアはダメージを負いながらそう呻くように呟く。だが、勇美には感じられたのだ、そこはかとなくそこまで悔しがってはいない様子に。
ともあれ、ヘカーティアは今の勇美の会心撃について問う。
「見事な判断だね。今のをよく思い付いたな」
「ヘカーティア様のスペルの名前を聞いてピンときたんですよ。この攻撃は『穢れ』を操るものだって」
それは、地上の生命エネルギーたる穢れを嫌う月の民たる依姫と接していた事で気付けた事なのであった。大切な人の弱点だからこそ、勇美はそれに敏感になれていたという訳なのである。
それは皮肉な話ではある。だが今こうして勇美は活路を見出だせたのだ。故に怪我の巧妙だと彼女は腹を括る事にしたのだった。
それを聞きながら、ヘカーティアは感心したように頷いていた。そして、やはりその様子には余裕の念がありありと見て取れるのである。
「さすがは黒銀勇美といった所だな。それなら次の力を使っても問題はなかろう」
言うとヘカーティアは無言で念じる。すると彼女の髪は黄色に変貌したのだった。今度は『月』の体へと入れ換えた証である。
そして、この瞬間勇美は確信したのだった。さっき与えたダメージはこの月の体には及んでいないと。
(つまり、三つの体にそれぞれHPが振り分けられているって事だね……)
そう勇美は自分に分かりやすいようにゲームに例えて考えたのだった。その方がこの気を抜けない戦いの中では有効だからである。
(さて、どうしたものかな……)
その事実が分かっても今の勇美ではどう対処する事も出来ないのだ。取り敢えずこの事は現状維持とするのだった。
まず、今集中すべき事は、新たな体に入れ換えた敵がどう出てくるかという事であろう。そう勇美が考えを巡らせていると、タイミング良くヘカーティアから声が掛かってくるのだった。
「さあ、異界と地球は攻略されたけど、今回の月はどうかな?」
そう、『ダメージ0』の月のヘカーティアは余裕の態度でそう言ってきた。そして、有無を言わさず彼女は次なるスペルを発動する。
「【月「アポロ反射鏡」】」
その宣言により辺りの空気に変化が生まれた。かと思うと一気に周囲に何かが現出したのである。それは……。
「鏡……?」
勇美の言う通り、辺りには無数の鏡が設置されていたのだった。それを見て勇美は「まずい」と思った。何故
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