第三章 リベン珠
第31話 神達との邂逅
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純狐と、彼女の間に入って出たヘカーティアが去ってから、勇美と鈴仙は体勢立て直しを兼ねて永琳から送られて来た敵の素性について手紙を読んだのである。
そして、その内容は二人が思っていたものよりも重い話であったのだった。
まず、純狐には昔、夫がいたのだった。そう、彼女は既婚者だったのである。
そして、その夫には嫦娥という別の既婚者が存在したのだった。
そう聞いて驚く人は多いだろう。だが、おおよその、恐らく日本人が読んでいるだろう故に、多くのその人達が想像している内容とは違うだろう。
そう、別に夫は浮気をしていた訳ではなかったのだった。その事を示す名称は恐らくこの話を読んでいる人なら恐らく耳にした事はあるだろう──要は一夫多妻であった訳だ。
そのルールに従っていたのだから、不倫のような泥沼の問題には発展してはいなかったのだ。だが、更なる事態が過去に起こっていたのだった。
純狐の夫は野心家なのであった。それが故に、自分の子にその地位を脅かされるのを恐れ、最悪の暴挙に出たのであった。──それは毒殺であった。
その事を知り、純狐は我が子の仇討ちの為に夫を殺し、彼女の復讐は終わったのだが……それで万々歳とはいかなかったのだ。
それは、純狐の能力の純化にある。それは物事を混じり気のない完全なものにしてしまう能力である。その能力が自分に向いてしまった事により、復讐を遂げても彼女の心の底にこびりついていた憎しみの断片が完全なものになり、彼女は未だに恨み続けているという事だ。
しかし、勿論事の元凶たる彼女の夫はもうこの世にはいない。なので、純狐の恨みは夫のもう一人の婚約者であった嫦娥に向いてしまったという事であり、彼女が今回の騒動を起こした理由になっているのだった。
その事実を知った勇美は、唖然としていたのであった。
確かに勇美は母親から受けた仕打ちに復讐心を抱き、その気持ちを晴らすべく幻想郷で依姫の下で自分を磨き、戦い続ける道を選ぶに至った程である。
そうにまで至った自分の痛みは決して浅くはない、勇美は今でもそう思うのだ。
だが、同じ復讐心を抱く者と思っていた純狐の経緯の内容は自分よりも明らかに凄惨なものだと勇美は思い知らされたのだ。
勇美が母親から受けた精神的ダメージは決して低くはない。だが、勇美自身も、彼女が肉親で唯一心を許している妹の楓も、命を奪われる事なくこうして今でもこの世に存在するのだ。
だが、純狐はどうだろうか? 彼女の生涯のパートナーとなる筈だった夫に、何者にも替え難い我が子の命を奪われたのだ。その、大切なものを陥れられた事による心のダメージは他の者には想像する事は難しいだろう。
だから、勇美は完全には純狐の気持ちは解ってはあげられないのだ。だが、彼女は今一度彼女達と再戦して、少しでもその気持ち
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