第三章 リベン珠
第31話 神達との邂逅
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。
そんな勇美に対して、純狐は意気揚々とした態度で聞いてくる。
「さあ、どうしますか? と言ってもこっちは答えを聞きはしませんけどね?」
「……」
そう『楽しげ』に振る舞う純狐を見ながら勇美は思考の渦に苛まれたが、それもすぐであった。何故なら元より彼女の答えは決まっているようなものだからである。
「望む所です。もちろんその挑戦、受けて立ちますよ! 鈴仙さんもそれでいいですね?」
「ええ、私は勇美の意見には口出しする気はありませんから」
鈴仙がそう言ってくれると勇美としても気が楽なのであった。しかも、鈴仙としてもそれを無理に言っている様子はないので尚の事である。
だが、やはり勇美である。彼女は折角の鈴仙の同意に対して、この場でも悪ノリをするのだった。
「それじゃあ、ノーパンの件に関しても口出ししないようにお願いします」
「それはまた別の話です」
しれっと鈴仙は言うのだった。このまま流れに乗せる事で自分の欲望を通そうとした勇美であったが、それは見事に不発に終わってしまったようだ。
そんな二人の様子を見ながらヘカーティアが口を出してきた。
「おやおや、折角気が合いそうだったというのに。鈴仙の方は勇美の言う事を受け入れてあげたらいいのに」
「あなたは黙っていて下さいこのビッチ女神! そもそも、勇美さんの願望を野放しにしたら最早仲間とは言えませんから私達……」
「これは手厳しいねぇ……」
鈴仙の苛烈なツッコミにもヘカーティアは動じずにポリポリと頬を掻くのであった。こういうふてぶてしさがなければこの大胆な服装など出来はしないのかも知れない。
そんなヘカーティアに『あらゆる意味で』尊敬の念を抱きながら勇美は気になっていた事を彼女に聞いた。
「ところでヘカーティア様。あなたが嫦娥って人に復讐の念を抱くのは何故ですか?」
「そうだな。まだ言っていなかったっけ」
勇美のそのような振る舞いにも悪い気は起こさずにヘカーティアは相槌を打ち、そして答えていった。
「それはだな、嫦娥の夫がこの地獄の夜を奪った事においてだ」
「夜を……?」
「まあ、すぐには理解してくれなくてもいいさ」
予想通りに首を傾げた勇美に対して、ヘカーティアは包容力のある態度で以て言葉を返すのだった。
対して、勇美は思った。確かに今ここにいる地獄の気温は心なしか高いと感じるのだ。それはてっきり地獄特有のものと思っていたが、どうやらその『夜を奪われた』というのが関係しているようである。
だが、それでも勇美には感じられたのだ。ヘカーティアが復讐に出るに至った程であるから、彼女も余程の大切なものを嫦娥の夫から奪われたのだろうと。
勇美にはどことなく感覚で理解出来るのだ、ヘカーティアがとても包容力がありその器が女神らしく大きい事に。そんな彼女が
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