序章 1945年11月5日
[4/4]
[9]前 最初 [1]後書き
統一を果たしたのだった。
激動に満ちた70年間を思い返しながら、ジェームスは窓を開けて、ベランダに出る。かつて一兵士として足を踏み入れた鹿児島はすっかり様変わりしており、変わっていないのは近くに位置する火山島の桜島ぐらいだろうか。深夜であるにも関わらず、その街並みは街頭や建物の照明で明るく、今の日本の繁栄ぶりを表している様に見えた。
「あれから70年、核兵器の応酬で世界が滅亡するかもしれない中、よく生きていられたものだ…ん?」
自身の半生をそう評したその時、異変が起きた。
突如、真夜中であったはずの空が明るくなり、まるでいきなり真昼になったかの様に「マゼラン」と鹿児島湾全体を照らし出す。その信じ難い異変に、ジェームスは動揺する。
「な、なんだこれは!?…えっ?」
突然起きた異常現象に動揺する中、彼は視線を感じる。そして内陸部に目を向けたその時、付近の林の間から、70年前のあの時目撃した、一人の少女がこちらを見つめていた。
「あれは、あの時の…」
70年ぶりの再会に、ジェームスは目を丸く見開く。だがその直後、再び空は真夜中の暗さを取り戻し、少女の姿は漆黒の闇の中へと消える。ジェームスはその未知の現象に戸惑うばかりだった。
「今のは一体、なんだったんだ…とりあえずテレビでも見よう。ニュースで何か分かるかもしれない」
不穏を感じたジェームスは、リモコンを手に持ち、テレビの電源を入れる。すると、衛星通信放送の幾つかが見れなくなっている事に気付いた。しかも日本国内の放送チャンネルは普通に視聴出来るのに対し、衛星通信を介して視聴できる海外のチャンネルだけが視聴不可能な状態になっているのだ。
「一体、何が起きているというんだ…?」
突然起きた異変に対し、ジェームスはただ首を傾げるのだった。
[9]前 最初 [1]後書き
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ