序章 1945年11月5日
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、自分の妻や2人の子供、そして3人の孫達とともに、豪華客船による世界一周クルーズ旅行に参加していた。
「あれから70年も経って、あの時の事を夢で見るとはな。場所が場所故に、か」
ベッドから上半身を起こし、ジェームスはそう呟きながら窓の方へと向かう。そしてこれまでの70年間を思い起こした。
第二次世界大戦の終結で、連合国はソ連の北海道占領と東アジアの共産化を危ぶみ、日本国に連合軍を駐留させる事を決定。大日本帝国は新たな憲法の施行によって日本国として再出発し、大日本帝国軍も一度解体された上で、自衛隊として新たに始まった冷戦と、北海道や樺太、千島列島を領土とするソ連の衛星国家、極東人民共和国と対峙する事となった。
一方でソ連は、北海道という不凍港を得た事を契機に海軍戦力を強化。既存の戦力よりも核戦力を強化すべきだと主張していたニキータ・フルシチョフ書記長の下でも大口径火砲を装備した大型艦やジェット艦載機を搭載した航空母艦の建造・整備が続けられ、キューバ危機ではアメリカ海軍のモンタナ級戦艦とミッドウェイ級航空母艦を主力とした空母機動部隊と、ソ連のスターリングラード級重巡洋艦と改グラーフ・ツェッペリン級空母を主体とした北方艦隊がカリブ海で対峙するという光景が見られる事となった。
ジェームス自身も第二次世界大戦後に起きた朝鮮戦争やベトナム戦争で自由主義と共産主義の対立を経験し、60歳の時に陸軍少将として退役。70歳を目前とした1989年、妻や子供達とともに最初の日本旅行へ赴いた時に、三度目の世界大戦が起きた。
1989年1月、自らの意思で降伏を決意し、その高潔さや日本全体に対する影響力から憲政上での国家元首として生存を許された昭和天皇が崩御したのを契機に、日本全土の共産化を目論む極東人民共和国が侵攻を開始。それを契機にソ連や中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国も参戦し、世界は再び戦火に呑まれる事となった。
しかし、戦略兵器である核兵器の使用をアメリカ・ソ連双方が躊躇い、従来戦力による短期決戦に拘泥した結果、戦争自体は東アジアとヨーロッパの東欧地域に限定され、自衛隊はアメリカからの支援で大幅に強化された戦力でソ連・極東人民共和国連合軍を圧倒。さらに共産主義の現実と限界に幻滅した者達が叛乱を起こした事もあって沿海州は降伏し、ソ連からの支援を受けられなくなった極東人民共和国は崩壊。それと同時にソ連・中国も戦意を喪失し、第三次世界大戦は僅か1年の期間で終わりを告げた。
事実上の講和条約であるニューヨーク平和宣言にて日本国は、かつての日露戦争で結ばれたポーツマス条約の時の領土を回復する事が認められ、当時中国領となっていた台湾や、極東人民共和国の支配地となっていた北海道、樺太、千島が日本領に復帰。第二次世界大戦にて複数地域に分裂していた日本は
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