暁 〜小説投稿サイト〜
統一日本召喚
序章 1945年11月5日
[2/4]

[1] [9] 最後 最初
も考慮して、日本全土の占領による殲滅戦から、九州や四国を占領した時点で停戦を呼び掛ける方針へ戦略をシフトしつつあった。
 ジェームスが自分と同じ小隊に属する兵士達と会話していたその時、一人の兵士が新たに現れ、困惑した表情で言ってきた。

「おい、大変だ!ソ連の連中がフライングしてホッカイドウ全土を占領しやがった!こっちがキューシューで足止め食らってる合間に日本全土を奪い取るつもりだぞ!」

「おいおいマジか、出遅れたなぁ…ともかく、そろそろ俺達後方予備部隊も前線に回されるな。何せドイツの時はソ連がベルリンに一番乗りしたんだ、せめてトーキョーは俺達アメリカが一番乗りしたいところだが…」

 ジェームスが兵士に向けて軽口を叩いたその時、異変が起きる。
 先程まで鹿児島市から聞こえていた銃声が鳴りやみ、爆撃しに向かっていた空母艦載機も母艦へ引き返していく。その光景に、ジェームス達は違和感を感じ取った。

「なんだ?いきなり静かになり始めたぞ…」

 戦闘が急速に終息していく様子に、ジェームスが怪訝な表情を浮かべたその時、自分達の上官がその場に現れ、困惑気な表情を浮かべて口を開いた。

「諸君、いい知らせと悪い知らせが来た。まずは悪い知らせだ。日本政府にて国家元首を中心とした講和派がクーデターを起こし、連合軍司令部にポツダム宣言を受諾すると通達してきた。これで勲章を得る機会は無くなったな」

『えっ!?』

 一度戦いになったら、全滅するまで戦い続ける事で有名だった日本が、クーデターであっさりとその方針を覆した事に、イオー・ジマやオキナワでの日本軍の徹底抗戦を小耳に挟んでいたジェームス達は驚愕した。

「それに合わせてソ連も侵攻を停止し、他の戦線でも戦闘が終息しつつあるそうだ。そしていい知らせだが、これでようやく故郷に戻る事が出来るぞ。何せこれで戦争が終わるのだからな」

 上官が、それでも釈然としないといった様子で言う中、ジェームスはどこからか視線を感じ、近くの木々に目を向ける。するとそこに、白色を基調とした衣装に身を包んだ少女の姿があった。

「…!?」

 突然現れた少女に、ジェームスは目を瞬かせる。しかし気付いた時には姿を消しており、ジェームスは随分と不思議な幻を見たものだと考えた。
 その日、大日本帝国は連合国に対し、天皇の名に於いてポツダム宣言の受諾と無条件降伏を受諾する事を宣言。5年以上続いた第二次世界大戦は終わりを告げたのだった。

・・・

西暦2015年1月11日 日本国鹿児島県 鹿児島湾上

「…夢か」

 目が覚めた時、ジェームス・ミラーは、豪華客船「マゼラン」の一等客室のベッド上にいた。
 第二次世界大戦から70年が経ち、今年で90歳を迎える彼は、人生の余暇を過ごすべく
[1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ