第三章
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「だからね」
「今年もか」
「そうよ、けれど阪神が優勝するより巨人が優勝する方がずっと嫌だし」
千佳の本音である。
「頑張ってね」
「僕もそうだからな」
「カープが優勝する方がでしょ」
「巨人が優勝するよりずっといいな」
「巨人の優勝だけは嫌ね」
「最悪だな」
二人にとっては悪夢そのものである。
「本当に」
「全くよね、この二年その最悪が続いてるけれど」
「今年こそはね」
「阻止しないとな」
「出来れば未来永劫ね」
「全く、矢野さんには頑張って欲しいな」
寿は心から思った。
「優勝の為に」
「私もよ。佐々岡さんにはいつも期待してるから」
千佳も心から思った。
「是非ね」
「優勝して欲しいんだな」
「その気持ちは同じよ」
チームは違えど、というのだ。
「本当にね」
「そうだな、じゃあな」
「それじゃあよね」
「お互い頑張っていこうな」
「カープも阪神もね」
「あんた達ご飯よ」
母がここで二人に言ってきた。
「早く食べなさい」
「うん、今行くよ」
「待っててね」
兄妹は母の言葉に応えた、そうしてだった。
兄妹は両親と共に夕食を摂った、この時は野球の話はせず父のゴールデンウィークに家族旅行に行く場所の話を聞いていた。
だが二人共食事が終わるとすぐに試合の中継を聴きながら学校の勉強をした、勉強をする時も二人は野球であった。
開幕はいつも 完
2021・3・30
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