脱出と救出
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路は行き止まり、天井に向けて階段が設置されている。
階段の先は天井ではなく、重そうな鉄の扉になっており、リュカが腕をねじり上げながら男越しに鉄扉を押し上げる。
「ぎゃー!!いでででででで!!!!!痛ってば!!」
リュカが鉄扉を開けきった時には、男の腕はあり得ない方向に捻れており、両腕・両肩とも複雑骨折をしているのが一目で分かる。
「シュールだな…牢獄を抜けると其処は墓地!」
リュカは男を放り捨てると思わず苦笑いする…
「いて〜よ〜………」
「まさか墓地に続いているとは…」
男の苦痛の叫びを無視しながら、アルルはリュカと周囲を確認する。
辺りは既に薄暗く、墓地特有の不気味さが漂っている。
「くそー…いて〜…」
「うるせぇ!今治してやるから黙ってろ!」
そう言うとリュカは、男の両腕をあり得ない方向へ曲げながら、魔法を唱えた…
「ベホマ」
そう…リュカは男の両腕を捻れた状態でくっつけてしまったのだ!
「ひでぇ………」
思わずカンダタが呟く…
「酷くない!この男はマリーを犯そうとしたんだ!殺してやりたいけど、勘弁してやったんだ!命ある事を喜べ!」
リュカファミリーの誰もが…ティミーですら、リュカの言葉に無言で頷く。
そしてウルフも、この腕の曲がった男を増悪の瞳で睨み続ける…
「リュカさん、そいつどうするの?出来れば、フィービー達の元には連れて行きたくないんだけど…」
「…ウルフはどうしたい?」
ウルフは今にも殺しそうな目つきで男を睨む。
「…俺は……俺はコイツをこ「ウルフ様!」
突然ウルフの言葉を遮り、マリーがウルフに抱き付いた!
「ウルフ様にはそんな怖い顔は似合いませんわ!私は優しい顔のウルフ様が大好きですぅ!この男は、こんな腕では碌な人生を送れませんわ…だから放っておきましょうよ、ねっ!?」
マリーはウルフの瞳を見つめながら、可愛く小首を傾げて見せる。
「………う、うん…分かった…マリーがそう言うなら…」
「と言うわけで、コイツは此処に捨てて行きましょう!………でも、フィービーさん達の秘密の隠れ家まで付けられたら厄介ですから……お・と・う・さ・ま?」
マリーは満面の笑みでリュカを見つめ、右手の親指を立ててみせる…そして笑顔を消すと同時に、親指を下へと向けて合図する。
リュカの行動はマリーの合図と同時だった…
蹲る男の両足目掛け、リュカのドラゴンの杖が勢い良く振り下ろされる!
(ゴキャ!)
鈍い音と共に男の足が脛から折れた!
「うぎゃぁぁぁぁぁ!!」
死人も目覚めそうな悲鳴が、墓地全体に木霊する…
すかさずウルフは男へ近付き、折れた両足へ手を翳すと…「ベホイミ」…と、痛みだけは取り除いてあげた。
そしてリュカ達は、二度と歩けなくなった男を残し、フィービー達の隠
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