第三章
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「あの、総務課長の丹羽さんを秘書に」
「それで働いてもらいたいんだね」
「秘書課長の一人として」
「スライド人事だね」
「彼女にとってもいいと思いますが」
「彼女は出来るね」
専務もそれはと言った、二人共初老であり腹は出ているがそれ程太っていない。重役は髪の毛の前が薄くなっていて専務は眼鏡が特徴だ。その専務が言うのだった。
「本当に」
「ですから」
「秘書にだね」
「そう思いますが」
「いや、それでもだよ」
専務は重役に強い声で告げた。
「彼女は総務にだよ」
「いるべきですか」
「理由は白石君から聞いたね」
「はい、総務に欠かせない人だと」
「それはその通りだよ」
まさにというのだ。
「総務に欠かせない人だから」
「総務のままですか」
「人事部でもそう決めたんだよ」
「入社した時にですね」
「そうだよ、若し彼女がいないと」
総務部にというのだ。
「果たしてどうなるか」
「わからない位ですか」
「だからだよ、彼女は確かに秘書の適性はあるよ」
「そうですね」
「うん、しかしそれ以上にね」
「総務の適性がですか」
「あるからね」
だからだというのだ。
「総務だよ、だが秘書に今優れた人が欲しいね」
「人手不足ですから、秘書部が」
「ならわしがいい人をスカウトするよ」
「そうされますか」
「民主立憲党の富久山議員のところに一人いるから」
「あの議員ですか」
「あんな人のところにいる人が勿体ない人がね」
そこまでの人物がというのだ、尚この議員は無能なだけでなく卑しく何かと黒い金や交流で知られている人物だ。
「いるから」
「だからですか」
「その人をスカウトするよ」
「あの議員は疑惑の総合結社ですしね」
「何時落選するか議員資格失うかわからないよ」
そうした者だというのだ。
「そうしたらその人も失業するし」
「その前にですか」
「スカウトして」
そしてというのだ。
「秘書になってもらおう」
「我が社にですね」
「疑惑の塊みたいな人だから」
専務はこのことをまた指摘した。
「何時逮捕されるかわからない人でもある」
「それで他の人への責任追及は熱心ですがね」
「すぐに責任問題を言うね」
「もりかけさくらとか」
「しかし、あの政党の人の特徴だね」
「自分のことはですね」
「徹底的に逃げるから」
所謂自分に甘く他人に厳しいタイプだろうか。
「いざとなったら責任をね」
「秘書に擦り付けるとか」
「そんなこともしかねないから」
だからだというのだ。
「そうなる前にね」
「こっちで、ですね」
「彼自身は清潔なのはわかっているし」
疑惑はあくまでその議員のことだというのだ、数多くのそれは。
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