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蛍合戦
第二章

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「だからね」
「若し蛍が人の魂ならなのね」
「絶対に出るでしょ」 
 その壇ノ浦にというのだ。
「あそこには」
「というか」
 愛実はここでりみにこう言った。
「海に蛍はね」
「ないでしょ」
「海蛍はいても」
「普通の蛍はね」
「それで出て来たら本当にね」
「蛍は人の魂ね」
「そうなるわね」
 りみに真剣に考える顔で言った。
「これは」
「そうでしょ、じゃあね」
「叔父さんにお願いしてなの」
「夜に海に出てね」
 勿論船でだ、りみは愛実に話した。
「そしてね」
「壇ノ浦まで行って」
「実際にどうなのか見てみる?」
「それじゃあね」
 愛実はりみの言葉に頷いた、そしてだった。
 二人でりみの叔父の柳崎豊、剽軽な感じの漫画のニャロメとかいう猫によく似た顔で黒髪を角刈りにしている彼に話すと彼はこう言った。
「ああ、あそこな」
「そう、壇ノ浦ね」 
 りみは叔父に話した。
「行けるかな」
「正直難しいな」
 叔父は痩せた身体の腹のところを掻きながら答えた。
「それは」
「どうしてなの?」
「ここ、瀬戸内海ってのは潮の流れがややこしいんだよ」
「そうなの」
「あちこち島があってな、潮の流れもな」
「ややこしいの」
「ああ、しかも小船や網も多くてな」
 叔父は姪にさらに話した。
「自衛隊とか保安庁の船に世界中から船が行き来してな」
「そんな場所なの」
「行き来の難しさじゃ世界でも指折りらしいな」
「そんな場所だったのね」
「瀬戸内ってのはな、それに夜ともなりゃな」
 この時間はというと。
「もう真っ暗な分余計にやばいで」
「そうなのね」
「それこそ生まれてから知ってる奴でないとな」
「それで叔父さんは」
「その生まれてから知ってる奴だ」
 柳崎はりみに笑って話した。
「よかったな」
「それじゃあ」
「ああ、行こうな」
 夜に壇ノ浦にとだ、柳崎は姪だけでなく彼女の友人にも話した。そうしてそのうえで日が決まってだった。
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