第三章
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「危ないだろ」
「もうあの娘ヤンデレじゃないの?」
「幸い池田があの娘一筋だけれどな」
「若し池田君に近付く人いたら」
「何するか」
そうした意見も出てだ、誰もが池田に声をかける女の子が出ないことを祈る様になった。そしてその危惧がだ。
不幸にして当たる時が来た、猪熊裕子という法学部きっての美人と言われる彼女茶色の髪の毛をロングにしていて楚々とした目と気品のある顔立ちでしかもモデル並のスタイルの彼女が池田に陸上部と彼女が所属しているテニス部の合コンの時に声をかけた、この時だった。
陸上部の面々もテニス部の彼等もゆみりのことを知っていたのでまずいと思った、見ればゆみりは今も池田の隣にいる。
だが裕子はあえて声をかけた、それで誰もがまずいと思ったが。
ゆみりは何も言わなかった、だが。
裕子はすぐに池田からそそくさと離れて陸上部の他の面々と話をした、皆この時はほっとしたが後になって裕子に事情を聞いた。
「どうしてなんだ?」
「どうして引き下がったの?」
「池田からそうしたんだ」
「何かあったの?」
「あのね」
裕子は問う面々に恐る恐る話した。
「池田さんの隣に本多さんいたでしょ」
「そうそう、あの人だよ」
「あの人が問題だと思っていたら」
「やっぱりか」
「あの人がだったのね」
「無言でいて表情も変わらなかったけれど」
それでもとだ、裕子はさらに話した。
「物凄い、刺す様なオーラを感じたのよ」
「おい、刺すか」
「刺す様になの」
「そんなやばいオーラ放ってたのか」
「だからなのね」
「多分付き合おうとしたら」
その時はというと。
「生霊が出て来てもおかしくないわ」
「おいおい、生霊か」
「生霊とは凄いわね」
「そんなの出て来たらな」
「洒落になっていないわよ」
「そんなことさえ思ったから」
オーラに怖気付いただけでなくというのだ。
「だからね」
「池田に声をかけなかったか」
「退いたのね」
「ええ、あの人には絶対に関われないわ」
こう言うのだった、そしてそれからだった。
池田にそうした目的で声をかける者はいなくなった、ゆみりはそのうえで彼に献身的に傍にいて何でもアドバイスをしてだった。
やがて体育教師そして優れた陸上部の指導者となった彼を支える様になった、結婚してそれからは妻としてもだったが池田は常に言っていた。
「妻がいてくれるから僕はあるんだ」
「まああんたがそう言うならな」
「それでいいけれどね」
皆その妻のことはわかっていた、だがそれでもだった。
もうそのことはあえて言わなかった、そうして池田は妻と幸せな人生を過ごした。優れた伴侶であり参謀である彼女と。彼と二人の間に生まれた子供達は真相を知らなかったが幸せな人生を過ごすことが出来た
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