第二章
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美代子はこの日から彼小田切定が出ている番組をチェックする様になった、新聞のテレビ欄だけでなくテレビ番組の雑誌をチェックしてだった。
息子夫婦や孫達に借りてもらったり中古で買ってもらった彼が出ているドラマや映画をDVDで観る様になった。
それでだ、毎日彼を観て言う様になった。
「いや、小田切さん観ているとね」
「惚れ惚れしますか」
「本当にこの歳になるまでね」
三時のおやつを食べお茶を飲みながら話した。
「あんな男前の人はね」
「観たことないんですね」
「この歳になるけれど」
七十八歳になるがというのだ。
「本当にね」
「そうですか」
「毎日小田切さんを観ていると」
饅頭を食べながらにこにことして話した。
「それだけでね」
「幸せですか」
「そうなるわ」
こう言うのだった。
「本当に」
「いや、お義母さん小田切さんにぞっこんですね」
「孫みたいな歳の人だけれど」
それでもというのだ。
「すっかり好きになったわ」
「アイドルみたいな感じですか」
「ああ、若い子が好きな」
「はい、そうした」
「私が若い頃にはもうアイドルがいたけれど」
美代子はその頃のことを思い出しつつ話した。
「フォーリーブスとかね」
「そうした時ですか」
「結婚してから十年位経ってトシちゃんやマッチが出て」
その頃のことも思い出して話した。
「そうした頃だったわ」
「私その頃は子供で」
「恵美さんはあまり覚えてないのね」
「どうも、その頃は」
子供だったのでとだ、恵美は義母に答えた。
「どうも」
「そうした頃ね、けれどその頃から思い出してもね」
「小田切さんみたいな人はですか」
「いなかったわ」
そうだったというのだ。
「本当に」
「そうなんですね」
「あんな恰好いい人ははじめてよ、お祖父さんの若い頃も本当に恰好よかったけれど」
長年連れ添った彼のことも話した。
「あの人とはまた違ったね」
「お義父さんお顔よかったですね」
「そう、ただあの人は健さんみたいだから」
「高倉健さんですか」
「あの人も凄く恰好よかったけれど」
そして若い頃の夫もというのだ。
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