第十話 思わぬ、嬉しい転校生その六
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そこまで話してだ。希望からだった。一時の別れの言葉を出したのである。
「じゃあね」
「はい、また後で」
「またここに来るから」
「お昼は一緒に食べましょう」
「そうしようね。それじゃあね」
こう笑顔で別れの挨拶を交えさせてだ。それからだった。
希望は親友と別れ自分のクラスに戻った。そのクラスでは。
彼を見て誰もがあれこれと話していた。その話している内容とは。
「あれ本当に遠井かよ」
「何であんなに痩せるんだよ」
「痩せて何だ?顔よくなってないか?」
「だよな。何かな」
「そうなってるよな」
こうだ。彼等は希望をちらちらと見ながら囁き合っていた。
そしてそれは女子達も同じでだ。こんなことをひそひそとやっていた。
「あいつ夏に何があったのよ」
「何であんなに変わるのよ」
「デブだったのに。急に痩せて」
「無理したんじゃないの?」
「薬でもやってたとかね」
こんな話をしていた。しかしだ。
その話を聞いてもだ。希望は何とも思わなかった。それでだ。
自分の席に座ってそれでだ。二学期最初のホームルームがはじまるのを待っていた。そうして暫く経ってからだ。
眼鏡をかけて七三分けの四十代の薄い色のスーツの先生が入ってきた。先生の名前を福田先生という。数学の先生で特にこれといって特徴はないことが特徴だ。
その先生が教壇のところに来てだ。こう生徒達、希望を含めた自分の受け持ちの生徒達に言ってきたのだった。
「じゃあこれから始業式だけれど」
「はい、その前にですよね」
「まずはですよね」
「ホームルームだ。皆いるな」
こう彼等に聞いてきた。そしてだ。
簡単に出欠を取った。それからだ。先生はこんなことを言ってきた。
「それで今日からだ」
「二学期、ですよね」
「今からですよね」
「それはその通りだがその前に」
「その前に?」
「その前にっていいますと?」
「新しいクラスメイトがここに来た」
こう言ったのである。それを聞いてだ。
生徒達はだ。こう言ったのである。
「えっ、というとつまり」
「転校生ですか!?」
「転校生うちのクラスに来るんですか」
「そうだ」
その通りだとだ。先生は生徒達に答える。
「このクラスになった」
「で、どういう人なんですか?」
あの女子生徒、一学期の間希望を最も攻撃した永田喜美がだ。先生に問うた。
「その転校生の人って」
「男ですか?女ですか?」
「どっちですか?」
誰もが希望を馬鹿にしていた。このクラスの人間なら。その彼等が一斉に先生に問うたのである。
先生はその彼等に対してだ。淡々とこう答えた。
「今呼ぶ」
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