第十話 思わぬ、嬉しい転校生その五
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「美男子っていうか美少年?」
「あっ、じゃあ私ツバつけるわよ」
「何言ってるのよ、あんた彼氏いるじゃない」
「そんなの関係ないわよ」
まずは男だった場合だ。そしてだ。
今度はだ。女だった場合についてだ。彼等は囁くのだった。
「女だったらどんなのだろうな」
「アイドルみたいのだったらいいよな」
「だよな。奇麗な娘だったらな」
「いいよな」
「本当にな」
こんな話が囁かれていた。その話を聞いてだ。
希望は真人にだ。こう言ったのだった。
「誰だろうね」
「転校生ですね」
「うん。一年生っていうけれど」
「ひょっとしてこのクラスに来るかも知れないですね」
「それか僕のクラスにね」
「どちらも可能性はありますね」
「そうだね。けれど」
「けれど?」
「誰でもいいよ。別に」
希望は転校生にもだ。周りの様に強い関心を見せなかった。さばさばとした、本当にどうでもいいといった態度でだ。それでこう真人に言ったのである。
「僕には関係のないことだから」
「だからですか」
「うん、どうでもいいよ」
本当に興味のない感じでだ。希望は真人に話す。
「誰でもね」
「そうですね。今の遠井君にとっては」
「大切な人がもういると」
どうかとだ。その大切な人のうちの一人を見ながらだ。希望は彼に話した。
「どうでもよくなるね」
「そうなるものですか」
「人は満たされていると。中にはそうでもない人もいるけれど」
「大抵の人はですね」
希望も含めて、そうした意味での真人の今の言葉だった。
「それ以上のものは求めませんね」
「そういうものだね。だから今の僕はね」
どうでもいいというのだ。その転校生についてもだ。
そうした話しているとだ。やがてだ。
真人は教室の壁の時計を見た。そのうえで希望に話した。
「もう時間ですね」
「そうだね。もうだね」
「時間が経つのは。時として早いですね」
「夏休みの間はずっとそうだったよ」
希望は夏休みを振り返りながらそのうえで真人の今の言葉に答えた。
「それはね」
「ずっとですか」
「多分。充実していたからね」
それでだと。また言う希望だった。
「それで楽しかったから」
「楽しくて。充実していれば」
「それで時間はすぐに進む様に感じられるね」
「ですよね。そういえば光陰矢の如しといいますが」
「それは充実しているからだね」
「辛いと。苦しいと」
希望のことを考えてだ。真人は述べた。自然にその目が伏せられる。
「そうなりますね」
「そうだね。だから一学期は長く感じたよ」
「ですね。僕も入院している時、遠井君が一緒にい
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