暁 〜小説投稿サイト〜
歪んだ世界の中で
第十話 思わぬ、嬉しい転校生その四
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「しかし。本当に変わったな」
「ああ。別人みたいだな」
「十何キロは痩せたよな」
「一体何やったらあんなに痩せられるんだよ」
「そうだよな」
 こうだ。彼等は希望を見て話すのだった。
 希望はその彼等の言葉を聞きながらだ。そうしてだ。こう共にいる真人に言うのだった。
 彼は今は真人の席のところに来ている。そうして言うのであった。
「何かね」
「皆遠井君のことを話していますね」
「そうだね。けれどね」
「けれどですか」
「気にならないよ」
 そうなったとだ。希望は真人に話す。
「全くね」
「昔は違いましたよね」
「うん。ずっと痩せたいって思っていたから」
 そのかつてのことを思い出しながらだ。希望は言ったのである。
「痩せて皆を見返したいって思っていたよ」
「けれど今はですね」
「そんなことはどうでもよくなったよ」
 そうなったとだ。希望は言った。
「だってね。彼等は僕を馬鹿にしてきたから」
「そうした人達に言われてもですね」
「どうでもいいよ」
 だからだというのだ。
「それに。彼等よりも」
「あの人達よりも」
「うん。友井君と千春ちゃんが見てくれているから」
「僕と。その人がですか」
「僕最近思うんだ。自分に相応しい人が神様は用意してくれて」
「そしてその人にですか」
「理解してもらえればいいってね。だから友達も」
 そのだ。友人についてもだ。希望は真人に話した。
「無理して。媚びる様にして作ってもね」
「仕方ないですね」
「うん。仕方ないよ」
 こう言うのだった。このことはだ。
「おかしな友達を持ったらね」
「そうですね。その時は」
「あの時みたいになるから」
 失恋し切り捨てられただ。その時の様にだというのだ。
「だから絶対にね」
「そうした人とはですね」
「友達にならないよ。友達にしたらいけない人、気にしたらいけない人はね」
「確かにいますね」
「そう思える様になったから」
 それでだというのだ。今もだ。
「周りから言われても何とも思わないよ」
「では今はですね」
「うん。友井君と一緒にいるだけでね」
 それで満足だというのだ。それが今の希望の考えだった。
 それで真人と共にいて楽しく談笑していた。だがその二人の耳にだ。
 希望や真人の話ではなくだ。こんな話が入ってきたのだった。
「何か転校生来るらしいな」
「えっ、そうなのか?」
「転校生がうちの学校に?」
「うちに来るのか」
「ああ、そうらしいぜ」
 こうした話がだ。彼等の耳に入ってきたのだ。
「一人。一年のクラスにな」
「へえ、誰だろうな」
「どんな人
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ