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俺様勇者と武闘家日記
第1部
ポルトガ〜バハラタ
シーラの決意
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と二人でダーマに行くの?」
「ああ。シーラのやつ、もう言ったのか。……そうだよ。最初はオレも止めたけどな」
「じゃあどうして行くことにしたの?」
「オレもあいつの気持ちがわかるからさ。強いやつが隣にいて、自分はいつまでたっても弱いし足手まとい。しかもその強いやつは気に食わないやつで、そのくせピンチになると助けてくれる。正直死んでもいいから助けてほしくないって思ったぜ」
 ああ、私も似たようなことを思っていた。気に食わないことはないけれど、助けられるたびに、自分がどれだけ惨めか痛感してしまっていた。
「けどさ、それって結局甘えだよな。自分が変わらない限り、その関係はずっと続くんだ。もしこの状況を変えたいのなら、死ぬほど強くなるために努力しなければならない」
 ナギは私の腕を離し、自身の手のひらを見つめた。
「あいつも同じなんだよ。ただ、オレたちと違ってあいつは、自分自身をリセットしなきゃならないんだそうだ」
「リセット……?」
「オレもよくはわからねえけど、とにかくダーマに行けばいいらしい。ただ、さすがに一人で行かせるのは無謀だからな。あいつのレベル上げも兼ねて、オレも同行することにしたんだ」
「そっか……。……うん、やっぱり、決めたよ」
「何が?」
「実をいうと、シーラがダーマに行くの、反対だったんだ。でも、それって私がただ寂しいからっていう、子供みたいなわがままだって気づいてさ。シーラのことを考えたら、快く賛成するのが正解なんだよね」
「そういうもんか?」
 私の出した結論に、ナギは首をかしげる。
「何が正解とか、そういうのないんじゃねーの? お前はシーラと離れ離れになるのが寂しくて、反対したんだろ? それがわがままだろうと何だろうと、自分で否定するのはちょっと違うと思うな」
 その言葉に、私は目を瞬いた。
「シーラに、お前の気持ちを正直に言ってみろよ。それでもダメなら、しょうがねえよ。あいつのことを思って、譲ってあげればいいさ」
「うん……そうだね」
 私はナギの言葉に背中を押されるように、再びタニアの家へと戻ることにした。



 家に戻ると、シーラは今にも泣きそうな顔で私を出迎えてくれた。
 そしてそのまま、私は今の気持ちをシーラに打ち明けた。
 シーラと離れるのが寂しいと。
 でも、やっぱりシーラの決意が揺らぐことはなかった。話している私も、こういう結末になることを予想していた。
「ありがとう、ミオちん。あたしもミオちんと離れるのは嫌だよ。でも、変わるなら今しかないと思ってるんだ」
「うん。わかってる。シーラが決めたんだもんね。それならもう私は止めないよ」
 もう私にはシーラを止めるすべはない。なら私は、シーラを信じて待つしかない。
「おいザル女。半年時間をやる。半年たってここに戻ってこな
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