第二部 黒いガンダム
第五章 フランクリン・ビダン
第一節 救出 第四話(通算84話)
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ィングとの相性のよさはシューフッターの「過敏すぎる反応と追従性」という一言からも伺えたが、ジムにフィールドバックするためには、全面使用は不可能だった。それはセミモノコック構造の限界だった。
セミモノコック構造は、マイナーチェンジによる組み換えで小刻みに性能を向上させられるようになっており、メンテナンス性はジオン製MSと比較しても遥かに高いが、汎用性の高さゆえに局地戦における適合性や個体性能の限界値は低いままだった(ただし簡易にパーツを交換し局地戦にある程度対応させることは可能)。その上、過去の資産と生産性・互換性を維持するために、大幅な新設計を受け付けない規格になってしまっていた。そのためムーバブルフレームという新しい概念が生まれても機体の設計そのものが大きく変えられないため、《アレックス》の量産型とも言える《カスタム》《クゥエル》にムーバブルフレームを一部しか採用出来なかった。
対してモノコック構造は装甲と一体整形されているため、生産性は高いが互換性が低く、常に新規設計を要する。だがそれが、逆に新進性の高い新しい設計が可能だった。そこに着目したフランクリン・ビダンが考案したのが、モノコック構造から装甲を分離し、ムーバブルフレームに追従可動させるフレキシブルアーマーという概念である。ムーバブルフレームと一体成型された各部位はフレキシブルアーマーによって有効な部位に装甲を移動させることが可能になり、ムーバブルフレームの有効性は飛躍的に向上した。致命的な欠陥はジムシリーズにフィードバックできないという点だが、それは逆にジムシリーズを再設計し、部品レベルでの互換性を保たせるということで《ガンダムマークU》の開発が始まったのだが、それはカミーユもアストナージも知る由もないことだった。
「技師長!」
アンナの叱責が飛ぶ。アストナージがとりついているため、カミーユのコールが滞っていたからだ。
「アストナージさん、後で続き聞かせてもらいます」
「おまえ、いい子だよ」
まだ話足りなそうな顔をして、アストナージがコクピットから離れていく。
――G03、発進シークエンスに入れ
「G03、了解」
――コンディション、オールグリーン
コンソールには先発したエマのG01が三角のカーソルで表示されていた。一瞬、不快な気分がもたげたが、これも任務と押さえ込む。
「カミーユ・ビダン、G03、ガンダム行きますっ」
GOのサインとともに《ガンダム》がリニアカタパルトの上を滑る。濃紺の機体が純白の艦体に写り込んだ。
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