外伝〜彷徨える霊姫〜 後篇
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在として詰んでいる。うん、どこにも辿り着けないとはよくいったものだ。だからこそ辛いという感情は人一倍だっただろうね。自分だけが理性を保っている環境なんてゾッとするよ。」
「……つまり、彼女にとっての癒される存在であった死霊達を私達が掃討した事で、彼女は悲しみ、そしてその悲しみの元となった私達を恨んでいるという事ですか。」
レジーニアの推測を聞いたオリエは静かな表情で呟いた。
「存在として同じ仲間はたくさんいるけれど、彼女はある意味でひとりぼっちだ。自我を失くし、狂ったように見えたとしても、その孤独は心を蝕んでいくだろう。だから死霊を増やそうとする。もしかしたら、いつか自分と同じような”会話が可能な”死霊が増えるかもしれないから。……という感じに推測してみたんだけれど、どうだろう?」
「つまり彼女、アンリエットさんは寂しやがりな幽霊さんだって事ですわね♪」
「よく君は本人――――――それも亡霊を目の前にしてそのような事を口にできるな……」
「い、幾ら話し相手が欲しいからといって、それで死霊――――――”死者”を増やすのは色々と大問題ではありませんか!」
「ふふっ、それは”生者”である私達にとって”大問題”であって、”死者”である彼女にとっては気にするところではないのでしょうね。」
「先程エリゼが口にしたように、まさに”死者には生者の理屈は通じないな。”」
推論を終えた後に問いかけたレジーニアの確認に対してミュゼはからかいの表情で答え、ミュゼの言葉を聞いたクルトは呆れ、ジト目になって呟いたデュバリィの指摘を聞いたエンネアは苦笑し、アイネスは真剣な表情でアンリエットを見つめた。
「……うぅ……っ………」
「……どうやら図星のようだな。現に”負”の感情が増している。」
(クク、”負”だけではなく、自身の考えを暴露された事による”羞恥”も含まれているようだの。)
「そうね……それのお陰で少し正気が戻っているみたいだし……」
一方レジーニアの推測が図星だったのか、アンリエットの負の感情が増しているように見え、それを見たセリカは静かな表情で呟き、アンリエットを見つめて可笑しそうに笑うハイシェラの推測に頷いたサティアは困った表情を浮かべてアンリエットを見つめた。
「っ、返して、何も変化がなかった私達の日常を、返してぇ!」
「フウ……本人を目の前で本人の心情を解説するのはどうかと思うが、アンリエットの状況を知る事ができたから、一応助かったよ。」
どんどん強くなる”負”の感情と”恥ずかしさ”で思わず声を上げたアンリエットの様子を見たリィンは溜息を吐いた後レジーニアに対する感謝の言葉を口にした。
「褒めてもらえて嬉しいね。さらなる解析の為に、研究材料とし
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