外伝〜彷徨える霊姫〜 後篇
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うだの。)
「………………」
もはや会話もままならないアンリエットの様子を見て不敵な笑みを浮かべて呟いたハイシェラの念話を聞いたセリカは静かな表情で黙ってアンリエットを見つめた。
「アンリエットさん、泣いていますわね……」
「……そうね。実際私達が来なければ彼女の生活は保たれていたでしょうからね。」
「二人の気持ちはわからなくはないけど、相手は”死霊”よ。”生者”である私達の理屈は通じないわ。」
一方複雑そうな表情でアンリエットに同情している様子のセレーネとエリスに注意をしたエリゼは真剣な表情でアンリエットを見つめた。
「その通りだね。これまで死霊という存在は、ある種の本能と呼べる行動しか取らないと考えていたが、そうではないようだ。」
「……レジーニア?」
するとその時レジーニアがリィンの傍に現れて興味ありげな表情でアンリエットを見つめながら呟き、レジーニアの言葉を聞いたリィンは不思議そうな表情をした。
「何とも珍しい光景を観察できて嬉しいよ。霊体が霊体を慰めるとは、どういう理屈なんだろうかと掘り下げたくなってしまう。死霊が生者を襲う事例はいくつも確認されてきた。あたしたち天使もそれは対象らしく、近づくと交渉も何もなく戦闘になってしまう。彼女が先程口にした谷底でも多くはそういった行動を取っていたのだろうね。死してしまった後、生き返る為に襲い掛かるというものだね。でも、そんなことはどんな神にんだって不可能だ。死者蘇生は多くの者が願い続けてきたが、それが叶った事はない。少なくともあたしはその事象が成った例を知らないよ。あの死霊、アンリエットと言ったか。彼女はそれをよく知っているんだろう。つまり死霊が生者を襲う行動が無駄だと悟っている。死した後も理性を保っている証拠だね。だから慰める。死霊と成った時点で詰んでいるけれと、それでも諦めきれない想いを何とかしようというんだね。優しいじゃないか、うん、実に興味深い。」
「……あの、幾らまだ戦闘が起こっていないとはいえ、敵を目の前に悠長に長い説明をするのはどうかと思われるのですが。」
「また貴女は………死霊すらも研究対象にするなんて、それでも天使ですか!?」
アンリエットの事についての推論を口にした後興味ありげな表情でアンリエットを見つめ続けるレジーニアの言葉を聞いたアルティナはジト目で文句を言い、レジーニアの様子に呆れたルシエルは顔に青筋を立ててレジーニアを睨んで指摘したがレジーニアは無視して話を続けた。
「興味深いのは双方に影響があるという点だ。状況を整理すると、彼女の言葉には死霊の行動を誘導できる何かがあると見ていい。彼女は谷に棲んでいた死霊を抑制し、彼女も死霊の存在に癒される。何せ自身も死霊だからね、同じような存
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