第三章
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「ひょっとしたら」
「これから何かやったら」
「その時はどうなるかだな」
彼の声は怒りに満ちていたが冷たいものだった、そして。
洋介は仕事を終えるとすぐに両親にも親戚達にも保健所のふわりの動画を送った、保健所の人の言葉も。
そのうえで両親に動画のことを聞くと二人共怒りに満ちた顔と声で言った。
「もう何があってもな」
「あの人達を許せなくなったわ」
「そうだよな、本当に最低だよな」
洋介も言った。
「保健所でのふわりを観たらな」
「言っておくが保健所だからな」
父はこのことを強調してきた。
「殺処分あるからな」
「里親なんて探さないですぐにだからな」
「そうだ、誰かに預かってもらうとかな」
「そういうの一切なくてな」
「あいつ等はふわりをすぐにそこに捨てたんだ」
「死んでもいいか」
洋介の顔に苦いものも加わった。
「家族に迎え入れた相手への仕打ちじゃないな」
「おもちゃを捨てる様なものね」
母も言った。
「本当に」
「全くだよな」
「こんなことは絶対にしたら駄目ね。ふわり必死に鳴いてるじゃない」
「ケージの中でもだったんだろうな」
「その声が聞こえない様じゃね」
「もう人間じゃないな」
「こんなことは絶対に許したら駄目だ」
父は強い声で言った。
「だからいいな」
「ああ、この動画親戚全員に送るな」
洋介はあらためて言った。
「それで誰もこんなことはしない様にして」
「あの連中とはもう皆縁を切ったがな」
「今後何があってもな」
付き合わない、洋介はあらたに決意した。そのうえで今はケージの中で自分達を見ているふわりに優しい声をかけた。
「ふわり、遊ぶか?」
「ワンワン」
ふわりは洋介の言葉を聞くと尻尾を振ってケージから出て来た、そのうえで洋介と遊んだ。洋介はそのふわりを見てこの娘に二度とあんな思いをさせるかと自分の心に誓った。
保健所にいた時 完
2021・3・29
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