第九話 決意を述べてその十六
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「それが正しいことだね」
「そうだよね。色々な娘と一緒に遊んでもね」
「そんなのは。恋人じゃないよね」
「恋人はね。心と心だから」
「そうして何人とも遊んでも。心はね」
「ただ遊ぶだけだよ」
千春は否定した。希望の中学の時のおそらく彼の同級生の考えや行動についてだ。笑顔でだが確かにだ。否定したのだった。
「そんなことをしてもね」
「だよね。だから僕はね」
「千春とね。恋人でいようね」
「いるよ。ずっとね」
時もだ。希望は言った。
「これからもね」
「千春。それじゃあね」
「それじゃあって?」
「希望と。ずっとに何時でもね」
千春もだ。希望に笑顔で言ってきたのである。時のことを。
「いるようにするよ」
「何時でもっていうと」
「夏休みが終わってもね」
「一緒にいてくれるんだ。僕と」
「夏休みが終わると余計にね」
「一緒にいたくなるんだ。僕と」
「離れ離れって寂しいよ」
このことを理由にしての言葉だった。千春の今のそれは。
「だからね」
「夏休みが終わっても。けれど」
だがそれでもだとだ。希望はつい言ってしまったのだった。
「僕は学校があるから」
「高校だよね」
「うん。それがあるからね」
高校には行かないといけない。だからだというのだ。
「だから。夏休みみたいには」
「会えないんだよね」
「御免ね」
辛い顔でだ。希望は千春に告げた。
「今みたいには会えなくなるよ」
「ううん、大丈夫だよ」
「大丈夫って」
「千春。今と同じ様に希望に会えるよ」
何の不安も抱いていない笑みでだ。千春は希望に話してきていた。
その笑みを見てだ。希望はだ。
少しは疑いを持ったがそれはすぐに消えてだ。こう言ったのだった。
「そうだね。じゃあ」
「夏休みが終わってもだよ」
「僕達自然に会えるんだね」
「だから。心配しないで」
「どうやってそうして会えるかはわからないけれど」
だがそれでもだとだ。希望は不安が消えた顔で千春に応えた。
「そうだね。じゃあね」
「また夏休みが終わってもね」
「今みたいに会おうね」
「うん、会おう」
「会ってそれで楽しい時間を過ごそうね」
「そうしようね」
こう笑顔で話したのだった。プールの中で二人楽しく泳ぎながらだ。
夏休みの終わりが近付いていくのを感じていた。希望は夏休みの終わりに寂しさを感じていた。だがこれまでの様に辛くなることは感じていなかった。希望、それを感じていたのだ。
第九話 完
2012・3・4
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