第九話 決意を述べてその十五
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希望は流れるプールで泳ぎながらだ。千春に真人とのやり取りのことを話した。それを聞いてだ。
千春は微笑みだ。こう言ったのだった。
「そうだよね。千春は千春でね」
「友井君は友井君だよね」
「うん。どちらも希望の大切な人だから」
その違いはだ。千春もわかっているというのだ。
だがここでだ。千春は共に泳ぐ希望にだ。こうも言ったのだった。
「それでもね」
「それでも?」
「恋人は千春だけだよね」
その存在はだ。彼女だけだというのだ。
「希望の恋人はね。そうだよね」
「僕の恋人は」
「千春だけだよね。ずっとね」
「そうだよ」
迷わなかった。希望も。それで言えた言葉だった。
「僕の恋人はね」
「そうだよね。千春の恋人もね」
このことは希望もわかった。このプールで実際に見たからだ。どう見ても自分より整っている少年達の誘いをあっさりと断ったその時をだ。
だからだ。希望もわかったのである。そしてだ。
その千春がだ。笑顔で希望に言ったのだ。
「希望だけだよ」
「そう言ってくれるんだね」
「そうだよ。最初からね」
「えっ、最初からっていうと」
「だから。希望を見た時から」
まさにだ。その時からだというのだ。
「千春、希望のことが大好きだからね」
「そう言ってくれるから」
「そうだよ。だから千春の恋人は希望だけ」
はっきりとだ。澄んだ笑顔での言葉だった。
「希望だけだから」
「そして僕の恋人も千春ちゃんだけで」
「お友達は何人もいるものだけれど」
だが、だ。恋人はだというのだ。
「恋人は一人だけだから」
「そうだね。二人いるものじゃないよね」
「二人いたら恋人じゃないんだよ」
千春はそうしたことはだ。完全に否定した。そしてだ。
希望もだ。こう言ったのだった。
「恋人ってのはそこまで深い。特別な絆だからね」
「そうだね。ただ」
「ただ?」
「僕は昔はこんなことを考えてたんだ」
かつての自分をだ。ここで言ったのだった。
「恋人は何人もいてこそね」
「何人もいて?」
「そう。いてね」
そしてそのうえでだというのだ。
「それでこそだってね」
「男の子だって思ってたのね」
「実際に中学校とかでもそういう奴がいたんだ」
「もてたのね」
「そう。そいつはね」
そうだったというのだ。中学校の時のその知り合いはだ。
「それが羨ましかったけれど」
「今は?」
「昔は本当に羨ましかったよ」
あくまでだ。過去形の言葉だった。
そしてそのうえでだ。こう言えたのだった。
「あれだけ彼女がいてって思ってね」
「そう思ってたんだ。希望も
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