2 おともだちできた
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のだが……何故、この少女は涙を流しながら私を見ているのだろう。
「わ、わたしと……いっしょに居てくれるの……? おともだちになってくれるの……?」
「……『おともだち』?」
『おともだち』……『おともだち』とは何だ。また新しい単語が出てきた。
……考えても仕方がない。聞くしかないだろう。
「……『おともだち』って、なに?」
「え?! えっと……」
……返答に困っている様子だ。もしや『おともだち』とやらは一種の概念のようなものだろうか。
「えっと……いっしょに遊んだり、いっしょにお出掛けしたりできる……みたいな?」
「……なるほど」
つまり『おともだち』ではないと人間は並んで遊ぶことが出来ないのか。
……人間の認識を改めなくてはならないかもしれない。子供が私の知らない単語を多く知っているということは、ブラッド族よりも賢いのかもしれないからだ。
聞く限り、この『おともだち』になるデメリットは無さそうだ。口先だけで交わせる間柄というわけだろうか。
一緒に遊んだり……なるほど、私が遠くからではなく近くから人間達を観察するという考えはなかった。確かに直接接触できた方が感情をよりよく知れるのかもしれない。
そう考えれば、この申し出はかなり有難いことなのだろう。受けるしかあるまい。
「……なる」
「! ホント!?」
「ん」
少女は今まで見た中でも凄まじい笑みを浮かべ、何故かぴょんぴょんとその場を跳ね、私の手をぐっと握ってきた。
「わたし! 高町なのは! なのはって呼んでね! ねぇ、あなたの名前は?!」
「名前……名前……」
……そういえば、私の名前はないままだった。あの者達からはいつも『嬢ちゃん』と呼ばれてたから……
どうやら、名前が無いとこの先不便になりそうだ。折角だ。付けて貰おう。
「……名前、ない」
「え……?」
「だから、好きに呼んで。それが今日から私の名前」
「えぇー!? えーっと……えっと……」
表情をコロコロ変えながらうなり続けるなのは。彼女はどんな名前を私に与えるのだろう。
「じゃあ……あおいちゃん!」
「……『あおいちゃん』」
……『あおいちゃん』か。なるほど、今日から私は『あおいちゃん』だ。
「よろしくね! あおいちゃん!」
「よろしく、なのは」
この挨拶の後、なのはは帰る時間と言ってその場を去っていった。去り際に、また明日と言っていたので明日も来るのだろう。
今日だけで新しい単語を二つも覚えた。『さびしい』と『おともだち』。なのはと居ればまた沢山知らないことが知れるかもしれない。大収穫だ。
「……戻った」
「お、嬢
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