2 おともだちできた
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者達は眉間に皺を寄せて止めていたのだが、いつの日か普通に出歩くことを許可してくれてた。だが、いつも必ず何かあったら帰ってこいと言われてしまうのは何故だろうか。たまに人間のことがよくわからなくなることがある。
さて、今日も『べんち』とやらに座ってじっくり観察をしよう。あまり一人をじっと見るのはいけないらしいから適度に観察対象を変えておかねばならない。面倒だ。
「……ひっく……ひっく……」
ん? あの『ぶらんこ』とやらにいる少女……涙を流しているのか? どういうことだろう……この『こうえん』では皆泣くことはほぼない。あることはあってもすぐ泣くことを止め笑みを浮かべまた自由奔放に過ごし始めていた。
だがあの少女はどうだろう。先ほどからずっと泣くのを止めてないではないか。ずっと涙を流しているということは……哀、なのか? いや他の子供は笑みを浮かべながら涙を流していたこともあった。あれが哀とは思えない。
涙程度では感情の識別は出来ない。感情というのはやはり深い……。
……拉致があかない。あの少女は他の子供とは違いあそこから動くつもりは無さそうだ。分からないことは聞くしかない。
「……そこの嬢ちゃん」
「ひっく……んぇ、わ、私?」
「……ん」
一ヶ月程前に学んだこの星での女の子に対する声かけを実施する。こちらに気がついたということはやはりこの声かけは正解だったのだろう。
「……何故、泣いてる?」
「ぇ……」
「……さっきからずっとそのまま。何でなのか、私は知りたい」
えっと、えっとと言葉を詰まらせている目の前の少女。私が答えるのを待っていると、小さな声で答えた。
「……さびしい、から」
「寂しい……」
なるほど、寂しいと涙が出るものなのか。参考になった。だがそうとなれば……。
「……何で、さびしい?」
『さびしい』とは何だ? 何が原因で起こる? おそらくこの『さびしい』も感情の一つだろう。後学のためにも知っておきたい。
「……わたしは、一人だから」
「……」
一人になると『さびしい』と感じる……のか? ならずっと一人であった私は『さびしい』ということか。いや、私は一人でいることに対して感じることは無かった。ふむ、分からない……
「……?」
私はふと、あることに疑問を抱いた。今、目の前の少女は一人だと言ったが……。
「……いや、それは違う」
「んぇ……?」
何故ならば──
「私がいる。だから、一人じゃない」
この場には少女だけでなく私がいる。それならば寂しいという事象は起こらないはずだ。
その場合、間接的にこの少女は涙を流していることはおかしいことになる
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