最終章:無限の可能性
第287話「佳境」
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で、イリスの攻勢が甘い訳ですね」
その女性はミエラとルフィナを見て溜息を吐く。
二人の後ろにいるサーラとユーリは、その様子を見ても動けない。
イリスとは違った圧倒的な力と、そもそも守ってくれた事から迂闊に動く事は出来ないと判断したからだ。
「支配下の神々からすら執念のようなモノを感じましたが……彼女は相変わらず彼に執着しているようですね」
呆れたように女神は言う。
それは、ただイリスに……というよりも、イリスがただただ執着している事そのものに呆れているようだった。
「……あの、彼女は……」
「先ほど言っていた、対となる女神です。私達も一度しか会った事はありませんが」
かつての大戦では、イリスの勢力は今よりも大きかった。
結果的に、“光の性質”の神を中心に反撃する事になり、その際にユウキと共にミエラとルフィナも彼女と会った事があった。
「そちらの人間の方々は初めてですね。アリス・アレティと言います。そちらの眷属二人から聞いたかと思われますが、イリスの対となる神となります」
丁寧な物腰に、隠しきれない力の波動。
包み込むような優しさと共に、他を圧倒する程のカリスマが感じられる。
まさに女神とも言うべき“光”を感じられる。
「っ……!」
「……なるほど。ここまで来るだけの力は持っているようですね」
圧倒的な“光”に、サーラとユーリは怯む。
が、すぐに正面からアリスを見返した。
それを見て、アリスは威圧するかのような“光”を抑えた。
「試すような真似をしましたね。ですが、ここは本来貴女達が来るべき場所ではありません。早々に元の世界に帰ってください」
アリスの言葉に、サーラとユーリは言い返そうと口を開く。
だが、その前にアリスが言葉を続けた。
「……と、言いたい所ですが、予定変更です」
再び襲い来る流れ弾や攻撃を光の壁で防ぎつつ、サーラ達に笑いかける。
「彼が来ていて、そして貴女達が突入するのを良しとした……となれば、それだけ“可能性”を感じ取ったのでしょう。ならば、私も見届ける所存です」
「………」
イリスと同等であるならば、戦いを終わらせる事も可能だ。
だというのに、決着が着くまで見届けるとアリスは言った。
「私も、彼程ではありませんが他世界の生命にある“可能性”を信じていますからね。それに、私が戦う前に因縁を終わらせる必要もありますから」
「……貴女が空気を読む方で助かりましたよ」
「“性質”と言った枠組みを超えた想いや意志……そういったモノは大切ですからね。……あの子も、それを自覚すればいいのに」
困ったように笑うアリスは、まるでしょうがない娘か妹を思うような様子だった。
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