最終章:無限の可能性
第287話「佳境」
[1/9]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「ッ……!!」
神界の入り口。そこへ、膨大なエネルギーが集中していた。
魔力、霊力、神力……そして“意志”。
あらゆるエネルギーを一か所に集束させ、一つの“矢”へと変える。
それを番えるのは、椿だ。
「大丈夫?」
「まだ、行けるわ……!」
とこよの呼びかけに、椿は気丈に振る舞う。
既に、体は張り裂けそうな程に負担がかかっている。
それでも、椿は気合でそれを耐える。
「私がついて行けなかった分も、この一矢に籠めるんだから……!」
世界中とまではいかないが、数えきれない程の協力によって力は集められている。
本来なら、その力を受け止める程の強度が椿にはない。
神界という領域外の法則があるからこその荒業だ。
「……そろそろだ。もうひと踏ん張りだよ、椿!」
力の流れを見ていた紫陽が叫ぶ。
あと少しで、力は完全に集束する。
その時こそ、勝利の手助けとなる一射を放てる。
「っ……!」
“ギリッ”と奥歯を噛み、椿は狙いを定める。
既に体中が悲鳴を上げ、口元からは血が流れている。
それでも、瞳は狙うべき敵を見据えていた。
「射貫け、願いを載せた帚星よ!」
力の集束が終わる。
最後に籠められた椿の神力と“意志”が、矢を届ける推進力となる。
「“統志閃矢-神堕とし-”!!」
そして、椿の体が消し飛ぶと同時に、その矢は放たれた。
「これは……」
「ちょっと、シャレにならないですね……」
所変わり、神界の真っ只中。
イリスの軍勢を相手にしていたスフェラ姉妹は、目の前の光景に息を呑む。
足止めのために張った結界も、“破壊の性質”を持つ悪神に破壊されている。
「数も質も、段違いじゃないですか……」
「姉さん……」
結界を破壊された事で、二人の消耗も大きい。
その上、万全の状態でも敵わない程の数と質の神が集結していた。
……どうやら、戦線を放置して全てここに戻ってきたようだ。
「(敗北を前提にしても構わない……んですけど、さすがに足止めすら出来ないというのは看過できないんですよねぇ……)」
優輝とイリスの決着が着くまでの時間稼ぎ。
それが本来の目的だ。
しかし、このままではそれすらもままならない。
その事にルビアが歯噛みする。
「……最悪、通してしまっても構いません。出来る限り、足止めを―――」
覚悟を決め、それでも戦おうと構える。
その瞬間、極光が神々を襲った。
「間に合いましたか!」
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ