第九話 決意を述べてその十四
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真人の家を出る時にだ。希望は笑顔で見送ってきた彼に言ったのだった。
「じゃあこれでお別れだけれど」
「今日はですね」
「僕達はまた一緒ですね」
「そうだね。ところで友井君も」
「僕も?」
「きっとね。素敵な人ができるよ」
そうなるとだ。笑顔で言ったのである。
「絶対にね」
「恋人ですか」
「うん、絶対にね」
「その言葉は嬉しいのですが」
しかしそれでもだとだ。真人は屈託のない笑みで希望に答えたのだった。
「僕は今はそうしたことには」
「彼女については?」
「興味が沸かないです」
「そうなんだ」
「女の子達にも。酷いことをされてきましたから」
ふとその顔に悲しさを帯びさせて。真人は希望に話した。
「そのことがありましたから」
「けれどそのことを忘れられたら」
「その時にですか」
「きっとね。友井君にもね」
そうした相手が出て来る、そうだというのだ。
「できるよ。出て来るよ」
「出て来るものですか」
「そうした人に出会えるのも運命だからね」
そうだと思うからこそだ。希望は言えたのだ。それは運命だとだ。
「だからね」
「それでも僕は今は」
「彼女には興味がないんだ」
「女の子には興味があります」
このことは否定しなかった。真人自身も。
しかしそれでもだ。真人は言うのだった。
「ですがそれでも」
「彼女を持つことは」
「興味がありません。それに怖くもあります」
「怖い。そうだね」
「ですがこの感情は克服したいですね」
今度は暖かい。目にとりわけそれを宿らせたうえでの笑みだった。
「やがては」
「そうだね。そうすることがね」
「いいことですね」
「トラウマとか。そういうことは乗り越えたり克服することはとても難しいものだよ」
自分がそうだから。希望はこのことについても言えたのだ。
「けれどね」
「それでも。ですよね」
「乗り越えたら。それだけ大きくなれるから」
「だからこそ何時かはね」
「そうします。では僕の努力は」
「克服することだね」
「それになりますね」
暖かい微笑みでだ。真人は自分の家の玄関で希望に話していく。
「僕も努力します」
「一緒に頑張ろうね」
「はい。では」
「また明日ね」
微笑みで。希望も告げた。
「明日会おうね」
「そしてその明日は」
「今日よりもね」
今よりも。どうかというのだ。
「明るく前向きになって」
「そしてですね」
「はい、よくなりましょう」
「そうしようね。少しずつでも」
「毎日少しずつでいいんですよ」
真人はその希望の背中をだ。また押しての言葉
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