暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第73話:その名は旗頭に非ず
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颯人と慎次によって、武装組織フィーネのアジトの場所は割れた。
場所は郊外にある廃病院。調べてみるとそこには真新しい車両の轍などがあり、ここがフィーネのアジトであるという証明となっていた。
事ここに至り、二課は早急にこの事態の収束を図るべく装者4人と魔法使い2人を派遣した。
…………午前3時と言う時間に。
『いいか、今夜中に終わらせるつもりで行くぞ!』
『明日も学校があるのに、夜半に出動を強いてしまい、すみません』
一応述べておくと――学生組は特にそうだが――全員夜中に叩き起こされた訳ではない。事前に夜半の出動になる事を知らされ、それに備えて準備して今ここに居るのだ。つまり全員、深夜の行動になる事を承知の上でここに居る。
「気にしないでください。これが私達、防人の務めです」
「そうそう。アタシと颯人なんて、別に夜更かししてもそこまで問題にならないしね」
「がっつり昼寝して寝溜めしておいたから、準備は万端よ」
翼の言葉に続き、奏と颯人がストレッチしながら返した。この2人は既に学生ではなく、颯人なんかは日中完全に自由なので備えはいくらでもできた。
「街のすぐ外れに、あの子たちが潜んでいたなんて――」
響が廃病院を見上げながら呟く。まさかマリア達がこんな近くに潜んでいるとは思わなかったのだろう。彼女らの潜伏先は正に目と鼻の先にあったのだ。
『ここは、ずっと昔に閉鎖された病院なのですが、二ヶ月前から少しずつ、物資が搬入されているみたいなんです。ただ、現段階ではこれ以上の情報が得られず痛し痒しではあるのですが、何者かが潜んでいるのは間違いないと思われます』
「尻尾が出てないのなら、こちらから引き摺り出してやるまでだッ!」
「その尻尾が、トラどころかバケモノの尻尾の可能性があるって事を忘れんようにね? あ、俺は念の為病院の周りを見ておくよ。もしかしたらどこかから逃げ出すかもしれないから」
「怖いから入らない、ってんじゃないだろうな?」
「な訳ないでしょうが。保険だよ、ほ・け・ん」
クリスに続いて他の者が廃病院に突入する中、颯人だけは念の為にと外周を警戒する事になった。こんな軽口を叩いているが、彼の言う通り彼らが来た事でマリア達が逃げ出す可能性や、逆に外からジェネシスがやってくる可能性もある。
人数に余裕がある現状、全員でぞろぞろと突入するのはある意味愚策であろう。後詰などの備えは必要だ。
灯りの無い廃病院に入っていく奏達を見送り、颯人は変身しながら廃病院周囲を警戒する為に歩き始めた。
***
颯人達が行動を開始したのを、廃病院内部から確認している者が居た。ウェル博士だ。仕掛けておいた監視カメラで、颯人達の動きは彼に筒抜けだった。
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